消費増税へ対応 ポイント還元や外食新メニュー

 消費税率が10月1日から10%に引き上げられる。同時に食料品など一部の対象品目には8%の税率が適用される軽減税率制度が実施される。外食やケータリング、医薬品・医薬部外品などは対象外になるなど、消費者にとって分かりづらいケースも多い。制度の導入に伴い、県内企業ではどのような対策を講じているのか聞いた。

 スーパー大手の㈱オークワ(和歌山県和歌山市中島、神吉康成社長)では、売り場の既存レジのシステムを複数税率対応に変更するため、160の全店舗で6月21日までにプログラム改修を完了した。従業員にはレジ業務の変更に伴う操作や顧客対応のオペレーションを順次進めており、顧客に対しては「10月1日より、消費税率が変更となります」と標準税率と軽減税率を表記したチラシを店舗内の数カ所に掲示して周知徹底を図る。生活日用品など10%の税率の品目については、対象メーカー限定で「増税前のまとめ買いキャンペーン」を展開したが、同社広報課は「酒類などのケース買いは多少みられたものの、2014年の5%から8%に変わる増税時に比べて駆け込み需要は少なかった」という。

 10月以降、毎週水曜日と木曜日の「すご得市」ではクレジット・電子マネーの両決済で、自社のオーカードポイントを3倍にし、また、提携する携帯電話会社のポイントも期間限定で3倍付与する。ユーザーの30~40代の年齢層を取り込むことで、オーカード所持者の多い年配層を合わせた幅広い世代の顧客にお得感をアピールする。また、総務省の「統一QR JPQR普及事業」の県の実証実験に参画したQRコード決済を同社の県内48店舗で10月下旬にスタートさせることに伴い、LINEPayやPayPayなど8種の決済サービスの導入を予定している。今後について、同社では「増税後のキャッシュレス決済によるポイント還元を促進させて、消費者の動向を見て対応していきたい」としている。

 外食業界では店内の飲食と持ち帰りで税率が異なるため、来店客への対応が必要となる。飲食業を展開する㈱信濃路(同市、西平都紀子社長)では、複数税率に対応する店舗レジのプログラムソフトの書き換えを完了し、並行して従業員にも周知させている。このうち同市美園町の「時ノ和珈琲」は前会計のため、店員が口頭で客に店内飲食かテイクアウトを確認して精算する。また同社が手掛ける近鉄百貨店和歌山店地下の「惣菜百撰 和音」や「友田町DELI」はテイクアウト専門のため、これまでの一律8%の税率で精算。7月からPayPay対応のQRコード決済を始めており、決済事業者を順次追加していく方針だ。

 外食は10%の税率が適用されるため、対策としてメーンのおかずを充実させた若者向けの定食メニューを10月中旬に新登場させる。担当者は「メニューの見直しを図るとともに、接客サービスを向上させることで新規顧客を増やし、増税後の売り上げの落ち込みをカバーしたい」としている。

税率の変更を知らせる案内(オークワ)