東洋ライスが国連で発表 無洗米のSDGs貢献
東洋ライス㈱(銀座本社=東京都中央区、和歌山本社=和歌山県和歌山市黒田、雜賀慶二社長)は、スイス・ジュネーブの国際連合欧州本部で11月27日(現地時間)に開かれた国際会議で事業内容を発表。生活排水を減らす無洗米や、糠(ぬか)を利用した肥料など卓越した精米技術による製品開発が、持続可能な社会を目指す世界的な開発目標「SDGs」に貢献していることを解説し、国際社会に技術力の高さを示した。同社によると、日本の企業が国連でSDGsに関する活動を発表するのは初めてという。
発表のきっかけは、SDGsが掲げられた2015年の国連総会で、人権を守る社会システムが世界各国の農業従事者に行き届いているかどうかを調査する目的で設立されたブルーナンバー財団(プヴァン・セルヴァナサン代表)が、同社の取り組みをNHKの海外チャンネルで知ったこと。「第8回国連ビジネスと人権フォーラム」で発表することを依頼された同社は、事業内容について、17項目のSDGsのうち「海の豊かさを守ろう」「産業と技術革新の基盤をつくろう」「すべての人に健康と福祉を」など、14項目に貢献していることを雜賀社長(85)が報告。さらに、同財団が開発した、調査結果を見える化したスコアカードで“BG無洗米”の製造に協力する日本各地の農家も、おおむね目標が達成されていることが示された。
発表には政府機関や世界的企業の関係者20人らが耳を傾け「循環型農業を実現しており素晴らしい」などと無洗米と、製造時の副産物である糠を利用した肥料「米の精」の開発などを高く評価していた。
同社は9日、東京都丸の内の東京會舘で現地での録画を示しながら国連での活動を記者発表。雜賀社長は「約40年前に海の汚染に気付き、近年の医療費の膨張に危機感を覚えて取り組んできた事業が、偶然にもSDGsとほとんど合致していた」と強調。国連関係者の「奥ゆかしい日本人の気質からか、日本企業にはPR力が足りない」との指摘を紹介し「今回の発表は国連の記録にも残される。良い取り組みを発信することは国際社会への貢献になり、とても重要だ」と話した。