ろう産業の再興目指し ブドウハゼの研修会

和歌山の伝統的な木蝋(もくろう)産業を支える「ブドウハゼ」の栽培を再興するための和歌山県主催の情報交換・研修会が29日、和歌山市寺内の東部コミュニティセンターで開かれた。生産性の高い栽培技術の開発と後継者の育成を目的に開かれ、今回で2回目。木蝋やブドウハゼの栽培に関心のある86人が参加し、接ぎ木や低木仕立てについて学んだ。

ブドウハゼの木蝋は和ろうそくやハンドクリームの原料となり、品質の良さから需要が高まっている一方、現在県内で栽培しているのは4、5人ほどで、栽培本数も1000本以下(2016年度)となっている。

県林業試験場特用林産部の坂口和昭部長が、接ぎ木技術と低木仕立ての研究状況について報告。樹皮を剥き、穂木をぴったりと合わせて固定する伝統的な方法で行った接ぎ木の実験結果を説明した。林業試験場では穂木の固定に強く固定できるテープを使い、樹皮を剥いだ部分との接点を増やすなど接ぎ木の方法に改良を加えたことで、始めた当初は30%だった活着率が80%に向上したことを報告。木に登らなくても実を収穫できる低木に仕立てる技術は、伸び始めた枝が柔らかい春の間に曲げて誘引し、T字に伸びた状態を目標に試験を行っていくとした。

また、このほど県の天然記念物に再指定された原木の調査を進めてきた、りら創造芸術高校は発見の経緯とハゼを使った商品を、向陽高校はブドウハゼのDNA解析結果を発表した。参加者は同市坂田の栽培地に移動し、低木仕立ての説明を聞き、収穫、接ぎ木などを実践した。

発表するりら創造芸術高校の生徒

発表するりら創造芸術高校の生徒