19年は件数増、負債額は減 県内企業倒産

東京商工リサーチ和歌山支店がまとめた2019年の和歌山県内倒産件数(負債額1000万円以上)は86件で、前年比6件の増加となったが、負債総額は同77・87%(111億7400万円)減の31億7400万円にとどまり、過去10年間で最少だった。前年は2件あった10億円以上の大型倒産がなく、中小零細企業の倒産が中心だったことが影響した。

倒産件数は、金融機関による取引先への積極的な支援姿勢などにより、上半期は前年を下回る状況が続いたが、秋ごろから増加傾向に転じ、前年を上回る結果となった。

倒産件数を産業別にみると、「サービス業他」が31件(前年比3件減)で全体の36・0%を占め、「建設業」が20件(同8件増)、「小売業」が16件(同1件増)と続いた。

原因別では、「販売不振」が最多の82件で、不況型の倒産が全体の95・3%を占めた。その他は、「運転資金の欠乏」が3件、「他社倒産の余波」が1件。

形態別では、法的倒産の「破産」が71件で最も多く、「民事再生法」が10件、「特別清算」が1件。私的倒産は「銀行取引停止」の4件で、前年より3件減少した。

負債総額は、「1000万円以上5000万円未満」の小口が66件と最多で、「5000万円以上1億円未満」が13件、「1億円以上5億円未満」が7件。主な倒産には、酒類小売業の㈱西浦(和歌山市、負債額4億円)、出版業の㈲アガサス(同、1億8000万円)などがあった。

地域別では、和歌山市が40件、岩出市が9件、田辺市が6件、紀の川市が5件、海南市・有田郡・西牟婁郡が各4件、橋本市・有田市・御坊市・東牟婁郡が各3件、海草郡・日高郡が各1件。伊都郡と新宮市はなかった。

同支店の分析では、県内の倒産件数は18年4月から19年9月まで一桁台の低水準が続き、10、11月は約3年ぶりに2カ月連続で二桁台の倒産が発生したことから、「減少傾向に歯止めがかかり、少なくとも潮目が変わりつつあると見て良い」としている。

引き続き企業体力の弱い小口倒産が主流であることに変わりはないが、金融機関の貸し出し姿勢が変化し、不振企業への支援から成長企業への支援にかじを切っていることや、人手不足問題なども見られるため、増加に転じる懸念は高まっていると見ている。

2019年県内の産業別倒産状況

2019年県内の産業別倒産状況