全小中学生にタブレット 和歌山市が緊急対策
和歌山市は17日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応する緊急経済対策の第2弾として、総額13億8103万円の2020年度一般会計補正予算案を発表した。外出自粛により深刻な影響を受けている飲食業などの支援のため、テークアウト(持ち帰り)やデリバリー(配達)のサービスを提供するための費用を補助し、市立小中学校の全児童・生徒に1人1台のタブレット端末を整備する事業を前倒しすることなどが柱となっている。20日開会の臨時市議会に提出する。
売上の減少が激しい飲食業などで、テークアウトやデリバリーにより事業継続を図る事業者が増えていることから、新サービスを円滑に展開できるよう、初期費用や割引キャンペーンなどに要する経費の2分の1、上限10万円を補助する。さらに、業者の紹介などを行うPRサイトも立ち上げる。
500事業者分の補助金とPR費用300万円を合わせて事業費5300万円を計上。サイトの運営は和歌山商工会議所と調整し、5月中旬をめどに事業を開始する予定で、尾花正啓市長は「1月くらいまで遡及(そきゅう)して支援をしたい」との考えを示した。
事業者向けの支援ではこの他、中小事業者が事業継続のために既存事業の拡充や転換を行う場合に費用の2分の1、上限20万円を補助する事業に2000万円を計上。販売やサービスのオンライン化、既存事業に加えての公衆衛生用品の製造などの取り組みを想定している。
観光需要減少への対策では、新型コロナウイルス感染症の流行収束後に利用できる宿泊プランを前売りする宿泊施設に、利用者1人当たりプランの2分の1の金額、上限2000円を補助する。
3月の市内の宿泊者数は昨年に比べて約5割に落ち込み、9割減となった宿泊施設もあることから、前売りによる収益が得られるよう支援する。事業費は5000万円。
臨時休校が続いている児童・生徒への学習支援として、市立小中の全児童・生徒にタブレット端末の整備を進める。文部科学省の「GIGAスクール構想」の一環で、23年度の達成を目指していたものを前倒しする。併せて、Wi―Fi環境が整っていない家庭に対し、在宅学習に利用できるモバイルルーターを導入。年内の早期に行いたいとしており、タブレット2万4210台分とルーター4300台分を合わせて事業費は11億3245万円となる。
受験を控える中学3年生に対しては、家庭でのオンライン学習の体制を構築するため、市立小中に配置済みのタブレット端末約600台を貸与し、安全に接続するためのフィルタリングソフトの導入に58万円を計上している。5月6日までを予定している休校が延長される場合を考慮し、7日から配布する予定。
また、休校期間中の家庭学習に使用できる問題集やドリルなどの教材を市が購入し、市立小中高の児童・生徒に配布する。事業費は2万5000人分で1億2500万円。
今回の補正予算案の他、市は国の緊急経済対策の成立に備え、国の臨時交付金を活用した市独自の施策の検討や、給付金の支給、児童手当の上乗せなどの予算措置の準備などを進めている。