県内中小企業の苦境続く 東商リサーチ調査
新型コロナウイルスの企業活動への影響について、東京商工リサーチが行った第8回アンケート調査(8月28日~9月8日)で、「影響が継続している」と答えた和歌山県内企業は71・4%と前回より1・2㌽減ったが、政府や自治体の資金繰り支援策を利用した企業は46・7%と半数近くに迫り、感染防止と経済活動の維持に悩む中小企業の苦境は続いている。
調査はインターネットで実施し、県内の有効回答は77社だった。
県内の企業活動への影響は、「継続している」の71・4%(55社)を最多に、「今後出る可能性がある」が23・3%(18社)で続き、「影響が出たがすでに終息した」が1・3%(1社)、「影響はない」が3・9%(3社)。前回に続き、7割以上の企業で影響が続いている結果となった。
どのような影響が出ているか(複数回答可)は、「売上(来店者)が減少」が57・1%で前回に続いて最多。次いで「出張の中止・延期」が38・9%、「商談の延期・中止」が32・4%となっている。「売上(来店者)が減少」と答えた企業の業種は、製造業が15社で最も多く、サービス業他が9社、卸売業が8社、小売業が5社と続いている。
8月の売上高について、前年同月を上回った企業は31・6%(19社)にとどまっており、68・4%が前年割れだった。近畿圏内では前年割れは74・6%に達し、県内以上に景気の後退を示す結果となった。
売上高減少の要因は、「国内消費者への売上高の減少」と「国内企業への売上高の減少」が各24・6%(各19社)、「輸出売上の減少」が6・4%(5社)などで、無回答が最も多い41・5%(32社)だった。
政府や自治体、金融機関の各種給付金や融資などの支援策を利用した企業は46・7%で、今後利用する可能性があるとした企業は22・0%、利用予定はないとした企業は25・9%となった。
感染終息までの期間が長引いた場合、廃業を検討する可能性があるとした企業は6・1%(4社)で、検討時期は「7~12カ月」が2社、「13~24カ月」と「25カ月以上先」が各1社だった。
県内では、新型コロナ関連の倒産は1社(9月25日現在)にとどまり、政府や自治体による資金繰り破綻を防ぐ施策が奏功しているとみられるが、同社は「再度感染拡大で営業自粛ムードとなれば、すでに限界となりつつあった小規模零細事業者は事業再開がままならず、倒産や廃業に追い込まれる企業が増加する可能性は否定できない」としている。