身近な無人島「友ヶ島」

前号では、総合公園化で交流人口の拡大を目指すスカイタウンつつじが丘の取り組みを取り上げた。今週は進路を西に変え「友ヶ島」の歴史と魅力を紹介したい。
友ヶ島は紀淡海峡に浮かぶ「地ノ島」「神島」「沖ノ島」「虎島」の総称。いずれの島も無人島であるが、沖ノ島は加太港から航路でつながっており、風光明媚(めいび)な瀬戸内海国立公園の一部として多くの観光客が訪れる。
かつて紀淡海峡を防衛する目的で造られた「由良要塞」の友ヶ島地区に位置し、沖ノ島と、隣接する虎島には合計五つの砲台跡や弾薬庫跡、聴音所跡などが残る。近年、これらの遺構がジブリアニメの雰囲気を味わえると話題になり、若者を中心に他府県や海外から訪れる観光客が増えている。
沖ノ島にはこれらを巡るハイキングコースが整備されている。所要時間は2時間から3時間。神秘的な要塞の遺構を見ながら、緑豊かな自然にふれ、コバルトブルーの海を眺められるコースは、日常を忘れリフレッシュできる。加太港から船で20分とはいえ、離島に居るという特別な感覚もあり、非日常的な体験をしたい方におすすめである。
明治5年に日本で8番目に造られたとされる洋風建築の「友ケ島灯台」は現在も稼働。歴史的・文化的価値が高く、海上保安庁が最も価値が高いとされるAランク(全国で23基)に指定した保存灯台。これも見どころの一つである。
広い芝生ではキャンプができ、夏場は磯遊びができる場所もあり、日常を忘れられる豊かな空間。身近な無人島を満喫してほしい。
(次田尚弘/和歌山市上空)