トルコ沖地震 県から友情の義援金を贈呈
トルコ西部イズミル県南部のエーゲ海を震源とする大地震を受け、和歌山県と県内市町村が一体となって募ってきた義援金が総額780万円を超え、呼び掛け人の仁坂吉伸知事と田嶋勝正串本町長は26日、県庁を訪れた同国のハサン・ムラット・メルジャン駐日大使に目録を贈った。
1890年、串本沖で遭難したトルコ軍艦エルトゥールル号の乗員を串本の人々が献身的に救助した歴史的事件以来、和歌山は日本・トルコ友好の原点の地。
昨年10月30日に発生した地震に際し、和歌山を挙げてトルコを支援しようと、11月5日に義援金の募集を始め、1月21日までに233件、782万7401円が集まった。
義援金は31日まで募集しているが、メルジャン大使の離任が決まり、あいさつのために来県する日程に合わせて贈呈の場が設けられた。
県庁知事室にメルジャン大使を迎えた仁坂知事は「トルコと友情を続けられる。こんな良いことはない。大使が離任されるのは悲しいが、今後も友好の努力を続けていく」、田嶋町長は「大使が着任された3年間は串本にとってもうれしく、トルコとの友好は一層深まった」と述べた。
メルジャン大使は、時折涙で声を詰まらせながら「和歌山との友情を思い出すだけで胸がいっぱいになる」と述べ、「130年前は海でトルコ人を助けてもらい、今回は陸で困難に陥った私たちに助けを差し伸べていただき、ありがとうございます」と義援金に感謝。「決して忘れないでほしい。不幸にしていつか日本で災害が起こったとしても、いつでも隣にトルコ人がいることを」と友情の思いを話した。
田嶋町長がメルジャン大使と串本との交流の場面を写したアルバムを贈るなど、3人は互いに贈り物を交換し、別れを惜しんでいた。