根来歴史マップ人気 身近な地元情報が満載

不動産の賃貸管理などを手掛ける「ユーミーマンション㈱裏地工務店」(本社=和歌山県田辺市宝来町)が製作した「根来歴史マップ根来寺と周辺地域」が、マニアックな情報が満載と住民などからひそかに人気だ。

2009年10月、入居者から「地元をもっと知りたい」との声が上がったのがきっかけ。第一弾として、営業所がある和歌山市の「有本・和歌山駅東周辺マップ」を製作。11年には「加納・松島」、14年には「鳴神」、17年には「神前」、19年には岩出市「金池」を作った。

根来歴史マップは19年1月に製作を開始し、配布は20年1月。同社推進の谷口勝美さんが営業活動とともに、根来地域の各所を撮影。住民の声や文献などを基にきめ細かな調査と専門家からの助言を得て、外注したイラストとともに説明文を加えている。

寺の歴史や周辺情報はもちろん、日本で最初の鉄砲生産地、西坂本や根来の子守唄なども記述。戦国時代の根来の繁栄が分かるよう工夫している。

戦国時代のサウナ風呂とされる湯屋遺跡(現在は埋め立て)の説明では「根来寺境内の東端の土地に当時大規模な蒸し風呂が建設されていた。(中略)中世根来寺境内の東外れに湯屋が造られたのは、湯屋は僧侶だけでなく根来の麓の村人の健康増進のために開放されていたからだといわれている」などと記載。

根来西山城については「根来寺の西の出城。秀吉の根来焼き討ちまで機能していたとされる。東側からは濠の跡が発見されている」など、他にも情報量が豊富で詳しい地図に仕上がっている。

本業である不動産の建設地などは目立たないように工夫し、地図を優先するなどのこだわりも。

谷口さんは「根来は面白い所。地元の人でも知らないことがたくさんあると思う。入居者と地元の人をつなぎたいという気持ちでやっている。このマップを持って散歩したり地元の歴史を知るきっかけになればうれしい」と話している。

根来マップは道の駅根来やアートスペース紀の川、ホテルいとう、市立根来小学校、スーパーネゴロ、紀伊風土紀の丘(和歌山市)、和歌山大学(同市)などで手に取ることができる。

次回作として、年内に「中之島周辺マップ」や「和歌山駅周辺」を手掛たいとしている。

谷口さん㊧と配布リストなどを手掛けた営業の中野龍一さん