政調費の賠償で知事らを提訴 市民オンブズ

県議の一人が支出した政務調査費(現・政務活動費)が一部違法だとして、市民団体「市民オンブズマンわかやま」(畑中正好事務局長)は24日、この県議に政調費の一部返還を、仁坂吉伸知事に時効となった分の損害賠償を求める住民訴訟を和歌山地裁に起こした。

同団体によると、首長に政調費に絡んだ損害賠償を求める住民訴訟は全国初。

県議には平成19~24年度の政調費のうち23年度の5月以降分と24年度分約320万円の返還を、仁坂知事には5年が過ぎ時効となった21年度~23年4月分約330万円の損害賠償を求めている。

同団体は過去2回、県議の政調費支出に関して訴訟を起こしており、ともに大阪高裁で判決が確定し、一部違法と認められている。

和歌山弁護士会館で記者会見した畑中事務局長は「(大阪高裁判決で違法の)基準が出たにもかかわらず、(制度を見直さず)いたずらに放置してきた知事の責任を問いたい」と話した。

提訴の前に同団体が行った住民監査請求では、県監査委員会は却下や棄却などとした。

提訴を受けて仁坂知事は「私は、監査委員が出した結論は妥当ではないかと思っている。私が請求を怠ったとして損害賠償をせよと言っておられるらしいが、訴訟が起きた時の裁判官でもない私が推認でいくらいくら払えと言えるはずがないではありませんか。こういう訴訟でまた、県の財政が傷んでいくと考えると暗い気持ちになる」と不快感を示すコメントを出した。

住民訴訟について説明する畑中事務局長㊧

住民訴訟について説明する畑中事務局長㊧