28年連続で最高金賞 モンドセレクションで田端酒造

酒造りの老舗、田端酒造㈱(和歌山市木広町、長谷川香代社長)の純米大吟醸酒「羅生門龍寿」が、国際的な食品品評会「2016年モンドセレクション」(本部=ベルギー)の蒸留酒・リキュール部門で優秀品質最高金賞を28年連続で受賞した。昨年樹立した27回連続受賞の世界記録を更新する快挙で、授賞式は先月、ハンガリーのブダペストで行われた。

「龍寿」は兵庫県吉川の山田錦と、酒水として良質な紀の川の伏流水などを原料に、伝統の杜氏(とうじ)の技を駆使して醸し上げた純米大吟醸。優雅で上品な香りと力強く深みのある味わいが特長で、シャンパングラスなどの細長いグラスで飲むと、より一層フルーティーな香りが楽しめるという。

平成元年にモンドセレクションに初出品し、最高金賞に加えて最高得点賞のパームリーブス賞を受賞。以後、100点満点で90点以上に与えられる最高金賞を連続で受賞している。

長谷川社長(62)は連続受賞に安堵の表情。「龍寿」という銘柄について「当社製品の中で最高品質なので、中国の伝説上の生き物で優れていることを表す『龍』と縁起のよい『寿』をつけました」と話す。

長谷川社長の娘で7代目蔵元の聡子さん(34)は「材料の米粒を61%削ることで、出来上がったお酒の雑味がなくなります。コストもかかりますが発案した祖父の製法を守っています」と話す。

「龍寿」は160年の歴史のある蔵で、1年分の酒を約1カ月かけて杜氏らのチームワークで冬場に向け一気に仕込む。その際には「ピリピリした緊張感があり、審査結果が出るまではそわそわします」と、杜氏も務める聡子さん。酒の製造だけではなく試飲会にも顔を出し、消費者の声を直接聞くことを心掛けているという。今後については「時代やお客さまのニーズに合わせるばかりではなく、先祖から受け継いだ伝統との調和を図っていきたいです」と意欲的に話していた。

受賞を喜ぶ長谷川社長㊨と聡子さん

受賞を喜ぶ長谷川社長㊨と聡子さん