体の一部をキャンバスに 井上さんが展覧会
「アートメークアーティスト」として活動する和歌山市西庄の井上智草さん(32)の展覧会が30日まで、同市祢宜のケーキサロン・マニエール和佐店で開かれている。体の一部をキャンバスにした作品を数多く手掛け、人を笑顔にしたり、驚かせたり。時に自身も作品の一部になる井上さんは「私も楽しみながら描いています」と、とびきりの笑顔を見せる。
県立和歌山商業高校を卒業後、エステティシャンや事務職などを経験。もともと描くことが好きで、約3年前から油彩画を始めた。会場に飾られた、インパクトのあるレインボーの唇を描いた作品「Lips」は、ことしの「市展」で読売賞に選ばれている。
影響を受けたのは、市展や県展の無鑑査作家でもある祖父の溝田哲夫さん(81)。ことしは祖母の久子さん(80)も入選し、3人そろって展示された。
そんな井上さんがいま力を入れるのは、妊娠中の女性のお腹に、元気な赤ちゃんが生まれてくるよう願いを込めて、絵やメッセージを描く「マタニティペイント」。
写真スタジオでアルバイトをしていたとき、妊娠中の姿を写真に収めるマタニティフォトに出合った。「お腹に絵を描いたらかわいいのに」と、ベリーペイント(マタニティペイント)に目覚め、昨年1月に道具を買いそろえ、独学で技術を身に付けた。
肌に負担の少ない絵の具を使い、赤ちゃんや花、虹など、リクエストに応じて描く。その様子を写真に残し、お腹の絵柄をコットンに写し取る。パパにも一筆手を加えてもらうなど参加してもらい、幸せや感動を共有できることが大きな喜びという。
そしてもう一つ、子どもからお年寄りまで楽しめるフェイス(ボディ)ペイント。ワンポイントで描くものから、顔全体に模様を描いて変身するようなものまで、さまざま。
自身の顔を練習台にやってみると、変身できる楽しさにはまり、インスタグラムで紹介したところ、海外からも多くの反響があった。
昨年のハロウィーンの季節には友人らと大阪のUSJに、ガイコツメークと衣装で出没し、来場者を驚かせたことも。グループホームにも出張した他、昨年は、ぶらくり丁のハロウィーンイベントで、子どもたちのほっぺなどにイラストを施して大好評だった。また、ゾンビやリアルな傷メークといったホラー系も、お手のもの。
今回の展示では、油彩画6点、作品を紹介する写真14点を展示。中には、自身の顔や体をペイントして撮影したものもあり、まるで絵画作品のよう。
いつもと違う自分になれたり、楽しい気分を一層高めてくれるフェイスペイント。イベントでは、自らも特殊なメークで参加することが多く、「周囲が驚く反応が楽しい。そんな気持ちを、皆さんにも体験してもらいたいんです」とにっこり。
20日まで、ぶらくり丁のアルモギャラリーで開催中の企画展にも参加。イベントやパーティーでも活躍の場を広げ、井上さんは「フェイスペイントやボディペイントといえば、私を思い浮かべてもらえるような存在になりたい。日常的に楽しんでもらえるるよう、魅力を広めていきたいですね」と意欲的に話している。
同店での展示は午前9時から午後7時まで。問い合わせは同店(℡073・477・3155)。