友ヶ島の漂着ごみ撤去へ プロジェクト始動
独特のノスタルジックな雰囲気から、近年観光地として人気を集める和歌山市北西加太沖の無人島・友ヶ島。国内外から注目を浴びる一方、深刻な問題となっているのが都市圏からの漂着ごみ。それらを解決すべく、多くの市民の協力のもと、ごみを撤去しようというプロジェクトが動き出した。山や川、森の保全に取り組む一般社団法人グリーンバナー推進協会が、関西電力のポイントを通じた社会貢献プログラムを活用。目標ポイントに達すれば実現されるもので、広く協力を呼び掛けている。
約3カ月前、初めて友ヶ島に渡った同協会の事務局長・榎本貴志さん(51)は、海岸や山中に驚くほど大量のごみがある状況に、目を疑った。
「無人島に、この尋常ではないごみの量は一体どういうことなのか」――。同行した加太観光協会の友人から、ごみは主に大阪や兵庫など、大阪湾沿岸の都市を流れる河川に捨てられたものが海流に乗り、島に流れ着くことを知った。後日ごみを集めてみたところ、洗面用具や洗剤の容器、テニスボールなど、さまざまな種類の生活ごみを確認し、あぜんとしたという。
沿岸だけでなく、風に吹き上げられ山の中にもごみが散乱している状況に心を痛め「国立公園でもある、この島の状況を放置するわけにはいかない」と、ごみの撤去を決意。普段、環境の問題をあまり意識していないような人を含め、広く関心を持ってもらい気軽な参加を促そうと、ポイントで協力を募る関西電力の取り組みを活用。「〝ラピュタの島〟に漂着する都会ゴミをなくしたい!」と銘打ったプロジェクトを立ち上げた。
島内には太平洋戦争時の砲台跡などが点在。最近では、その独特の雰囲気がジブリ映画「天空の城ラピュタ」の舞台に似ていると話題になり、多くの観光客が訪れる人気スポットになっている。
同市観光課によると、漂着ごみに関してはこれまで行政をはじめ、さまざまな企業や市民団体などが清掃活動をしてきたが、いったんは美しくなっても、ごみが絶えず流れ着く状況だという。
同プロジェクトでは回収の効率を上げるべく、集まったポイントを作業用の車(中古の4WD軽トラック)の購入費に充てる。
ただ、回収しても漂着ごみはなくなるわけでなく、問題の根本解決のためにも、榎本さんは「大阪湾周辺都市のみんなで解決に取り組み、守っていくという意識が重要」と話す。「プロジェクトを通じて、ちょっとしたポイ捨てが川を流れ、美しい海や島を汚すという事実を知ってもらうきっかけになれば」と話している。
今回の取り組みは関西電力の「みんなでわっしょい!プログラム」に参加。関西電力の利用者であれば、サービスの利用で付与される「はぴeポイント」を使って応援できる。50万ポイントを目標に設定しており、一定のポイント協力者には秋に友ヶ島で開くイベントへの招待も予定。募集期間は8月31日まで。関西電力のホームページから参加できる。