ドローンで密漁監視 加太漁協が夜間実証試験
日本沿岸で増加する密漁被害を防ごうと、和歌山県和歌山市の加太海水浴場で3日、ドローン(無人機)を使った夜間密漁監視実証試験が行われた。加太漁業協同組合(由井臣代表理事組合長)が主催し、徳島大学大学院社会産業理工学研究部の三輪昌史准教授、和歌山大学クロスカル教育機構の秋山演亮教授が協力した。
加太では長い間密漁被害が続いており、その多くは夜に発生している。漁師も海上保安署に通報し、密漁の現場を写真で撮影しているが、密漁船に逃げられ、特定・確保には至っていない。ドローンによる監視試験は徳島県の伊座利漁業協同組合でも実施されているが、夜間では初めて。
今回は三輪准教授が無人機のマルチコプターを海水浴場の半径約200㍍の範囲に飛ばし、赤外線カメラと投光器の2種類で密漁船の見え方を調べた。
暗くなった海に船を出し、海上の漁師とマルチコプターを操作する三輪教授らが無線で連携しながらマルチコプターを飛行。投光器は地上20㍍から海面を照らし、陸からも見える明るさで漁船を照らし出した。赤外線カメラは白黒の画面に漁船の形から手を振る漁師まではっきりと映し出していた。
由井組合長は「思っていたより鮮明な映像だった。三輪先生の技術もあるが、効果は大きいと思う」、三輪准教授は「海での操縦は、障害は少ないが風が強かった。赤外線の方がよく見えたが、投光器の光は威嚇にも使えるのでは」と試験の手応えは上々。
同組合では、引き続き密漁対策に取り組むとともに、加太の海を訪れる人へ被害の周知を深めていきたいとしている。