使うごとに味わい 近鉄で根来塗の作品常設

 根来寺根来塗宗家・池ノ上曙山さんの直弟子で、本年度の優良県産品「プレミア和歌山」に認定された松江那津子さん作の「根来寺根来塗豆子カップ」が18日から近鉄百貨店和歌山店(和歌山市友田町)5階漆器売り場で常設販売されている。

 根来塗が常設販売されるのは初めてで、今回販売されるものは桶形と言われ、口縁の近い胴部分に持ちやすいように突帯を施している独特の形状。大(13500円)と小(12960円)のサイズを販売する。

 和歌山県の郷土伝統工芸品の指定を受けた根来寺根来塗はケヤキの材質に国産の漆を使い、26の全工程中19工程を下地塗りに費やすなど、手間と時間をかけている。

 特長は沸騰した熱いお湯を直接入れることができるのはもちろん、熱が伝わりにくい構造なので直持ちで使用できる。また使うごとに漆の表面の朱色が発光して表情が変化し、艶っぽい独特の風合いが楽しめる。はけ目が残る状態で表面を塗るため、傷が入っても目立ちにくいという。

 松江さんは「日本酒を入れて楽しんでもらうのはもちろん、コーヒーや紅茶などもおいしくいただけます。おかずを入れて使うこともできる、普段使いできる漆器です」とPRしている。

 20日から25日までは同店5階画廊で「根来寺根来塗 松江那津子展―曙山の直弟子たち―」を開催。前日の特別招待会では多くの買い物客らが訪れていた。

豆子カップを手に松江さん㊧と池ノ上さん

豆子カップを手に松江さん㊧と池ノ上さん