昭和南海地震の体験者 当時振り返る
「昭和南海地震」 を体験した人の話を聞く会が26日、 海南市下津町上の下津歴史民俗資料館 (中谷澄雄館長) で初めて開かれ、 同町下津の脇浅明さん (94) ら5人が当時を振り返った。 昭和21年12月21日に潮岬南方沖を震源として発生したマグニチュード8・0の大地震。 当時を知る人も少なくなり、 貴重な体験を後世に語り継いでいこうと企画した。
脇さんは当時29歳。海の近くにある2階建ての家に住んでいた。 地震は午前4時ごろに発生し、 揺れは数分間続いたという。 驚いて近くの広場に出ると、同様に逃げてきた近所の人らが集まっていた。
話の中で 「津波が来たらたまらんな」 と思い、 風呂敷に雨がっぱやコート、 米と飯ごうなどを何げなく包んでおいた。 浜に出て確認すると波の高さが増していったため、 近くの山まで避難した。 家に戻ると床上約15㌢がぬれていた。
海は底が見えるほど潮が大きく引き、 直後に2回目の津波が押し寄せてきた。 「巨大な壁みたいだった」 といい、 再び避難したという。
脇さんは 「経験は話せるが、 大地震に備えてこうしろああしろとは言えない。 徹底してまず逃げることを意識せなあかんと思う」 と話した。
また、 この日は同町下津の川尻新三さん、西山庄吉さん、 川尻徳夫さん、 楠戸春次さんも当時を振り返り、「子どもに当時の地震の様子を伝えていくことも大切だと思う」 と話した。