古里の歴史に親しむ 和大付属小が黒江散策

 和歌山市吹上の和歌山大学付属小学校の4年生約60人が19日、 「紀州漆器」 で有名な海南市黒江の町並みを見学した。 和歌山の魅力を再発見しようと、 1年間かけて取り組んでいる社会科授業 「ふるさと和歌山つながりプロジェクト」 の一環。 児童らは築200年の漆器店など貴重な文化財を見て回り、 古里の歴史や伝統工業に親しんだ。

 同プロジェクトでは学期ごとにテーマを変えて学習している。 黒江地区で昨年12月、住民らが協力して地域の景観保全などに取り組む「黒江の町並みを活かした景観づくり協定」が締結されたことを受け、3学期は「伝統工業・海南のまちづくり」をテーマに決めた。

 この日は、 県観光ガイド専門員 「紀州語り部」 で、 市語り部ボランティアの菖蒲満さん (80) が案内した。 児童らは漆器職人の住居兼職場や問屋が並ぶ川端通りなどを散策し、 建物が通りに対して斜めに建てられている 「のこぎり歯状」 の家並み、 縦に細かい格子がある 「紀州連子 (れんじ)」、 同地区では1軒しかないれんが造りの 「漆の旧精製工場」 などを見学。 「こんなん見たことないわ」 「めっちゃ古そうやな」 と感想を話し合っていた。 また、 職人がホウキを手作りする現場も見学し、 紀州漆器伝統産業会館 (うるわし館) では蒔絵 (まきえ) を体験した。

 4年生の神谷隆次君 (10)は「漆器のクイズとか楽しかった。 家並みも実際に見てみて本当にのこぎり状になってるんやなって分かった」と笑顔。菖蒲さんは「失われつつある独特の家並みを見てほしい。 私たちの宝である文化財をしっかりと子どもたちに伝えていきたいです」と話していた。