全国で最下位 和歌山のコンビニ店舗数

 東日本大震災の発生で、 利便性が見直されつつあるコンビニエンスストア。 経済産業省の調査 (平成17年) によると、 県の人口1万人当たりのコンビニの数は都道府県別で最下位。 経済地理学の専門家は、 集客と配送コスト削減を考えるコンビニの出店傾向から、 人口の偏在具合や高速道路の未整備が要因と分析。 県内には現在 コンビニゼロ町村 も存在している。

 県調査統計課によると、 人口1万人当たりのコンビニの数は、 平成9年が47位、 14年が46位で、 10年以上前から最下位付近を推移している。
 現在、 美浜町、 紀美野町、 日高川町、 古座川町、 北山村の5町村にはコンビニがない。 県内のコンビニ分布図を見ると、 紀北の紀の川沿いに密集しており、 紀南にかけては高速道路沿いに点在、 山間部にはほとんど店舗がない。 最新のデータでは、 県全体のコンビニ店舗数に対する人口比 (19年) は1店舗につき4841人だが、 有田市以北では3568・4人と、 全国平均 (3153・5人) に近づく。

 出店が進まない理由の一つとして、 配送コストを抑えなければならないコンビニの事情がある。 コンビニ業界は、 配送拠点からトラックで原則一日3回店舗に納品する。 配送コストの削減を考えれば、 配送ルート上の出店が必然になる。 経済地理学に詳しい和歌山大学経済学部の講師、 藤田和史さん (34) は 「山間部は人口が希薄で集客が見込めない。 道路網が整っていない山間部は道が悪く、 配送の時間がかかるし、 必然的に立地は及び腰になる」 と分析する。

 さらに分布図を見ると、 大手コンビニチェーンの店舗は、 白浜町から串本市までに30㌔ほどの空白の区間がある。 「高速道路が田辺市までしか通っていないからでしょう」 と藤田さん。 その証拠に、 1990年代には紀中より北にしかコンビニがなかったが、 高速道路が南に延びるのにつれ、 ローソンやファミリーマートの紀南に向けた出店が加速したという。 藤田さんは 「道路網が整備され、 輸送条件が改善されれば、 空白地帯の出店も見込めるのでは」 と話す。
(続く)