和歌山県立医大に新棟建設へ がん治療など充実

 県立医科大学(和歌山市紀三井寺、 板倉徹学長)は15日、 新棟 「地域医療支援総合センター」 (仮称)を11月中旬から建設すると発表した。 がん治療を中心とした診療設備の充実、 県内の地域医療支援の強化などを主な機能としている。

 新棟は同大敷地内の東側に地上5階建てで建設し、 付属病院棟と通路で接続する。 完成は平成26年3月末の予定。

 県内のがん死亡率は23年が全国5位と高く、 手術などの治療体制の充実が求められている。 現在の付属病院に手術室は12あるが、 手術件数が想定を超え、 手術待ち患者が増加。 最近の4年間の手術件数は年間7000件台後半で推移している。 新棟の建設で手術室は7室増え、 年間約1万1760件の手術が可能になる。

 さらに、 体への負担が小さい内視鏡治療を充実するため、 治療室を現在の5から9室に増やす。

 新棟に設置する地域医療支援センターでは、 紀南地域など遠隔地の患者のために、 各地の医療機関での診療に医大の専門医がネットワークを通じて参加し、 患者との会話や現場の医師へのアドバイスなどを行う 「遠隔外来」 を実施。 救急医療でも、 医大の救急外来から各地にアドバイスを行える 「遠隔救急」 を行う。

 県内の全公立病院に参加を呼び掛けており、 各地の病院で必要となる設備は、 地域医療再生基金を活用して整備する。

 同センターではまた、 県内医療や過疎地医療に従事する医学生の卒業後の研修に対する支援、 医師不足状況などの把握、 分析も行う。

 板倉学長は 「新棟によって医大がさらに良い医療機関となるよう努力したい」 と話している。

 工事に伴い、 敷地内の駐車場100台分が使用できなくなるため、 工事期間中の平日は、 JR紀三井寺駅との間に無料シャトルバスを一日20往復半運行する。