本州最古の発見 串本で貝化石

 県立自然博物館(海南市船尾、吉田誠館長)は1日、串本町で発見された貝の化石が、深海のメタンなどを含む水が湧き出す環境で生きる貝として本州最古の発見であることが分かったと発表した。推定年代は約3700万~2800万年前(新生代古第三紀後期始新世~前期漸新世)。これまで日本で約80例ほど見つかっている同様の化石の中で本州最古のものとなり、進化を知る上での貴重な発見という。

 化石はスケンクガイ、シンカイヒバリガイ属の一種、キビガラガイ属の一種、オウナガイで、いずれも2枚貝。これらは「メタン湧水性貝化石群集」と呼ばれ、深海で発生したメタンや硫化水素などを含んだ湧き水を微生物が有機物に変え、それをエネルギー源とする特殊な生態という。

 大きさは3~6㌢。シンカイヒバリガイ属の一種と、スケンクガイは本州最古の発見、キビガラガイ属の一種は6600万~2300万年前(古第三紀)の化石とみられ、同時代の同環境で生きていたことが分かる化石としては世界初の発見という。

 発見までの経緯は、串本町在住の化石愛好家、左向幸雄さんが、「串本の海岸で採取した標本の中に、シロウリガイ類の化石らしきものがある」と同館に情報提供。化石の存在を確認した学芸員が左向さんと専門家らと共同研究を開始した。

 標本や現地を調査、分析した結果、メタン湧水起源のものであることを突き止めた。研究成果は1日発行の国際学術雑誌にも掲載された。

 ※【訂正】発見は「日本最古」ではなく「本州最古」でした。おわびして訂正します。