桟橋架け替え工事が中止に 友ヶ島

 和歌山市加太の友ヶ島で、支柱の腐食などにより架け替え工事が進められていた野奈浦桟橋について1日、現場のくい打ち作業で想定外の岩盤の存在が判明し、工事の継続が困難となり、事業が廃止されたことが分かった。

 市議会9月定例会の経済文教委員会で市が報告した。

 同事業は、平成25年度に予算が組まれた。岩盤の存在が確認されたことにより、工法を変えて掘削作業を行うと、海のにごりが避けられず、地場産業の「ワカメ漁」に影響することから、工事をいったん中止し、加太漁協などと協議を進めていた。

 市の説明によると、事業の請負金額は1億2320万円。資材費用5100万円程度については使い回しが可能だが、作業設備運搬の費用など約500万円が水の泡になったという。

 友ヶ島は近年、レンガ造りの砲台跡などがアニメ映画「天空の城ラピュタ」の作品世界に似ているとして、コスプレの聖地などと呼ばれ、人気が高まっている。島を訪れる観光客らは、平成22年の1万6363人に比べ、昨年は3万1634人に倍増するなどブームが訪れている。

 同委員会で委員からは、「観光客が増加しているので、安全面だけは注意してほしい」「ワカメ漁や秋風の海荒れなどで、工事できる日が限られているので、複数年事業で予算を組むべきだ」などの指摘があった。

 市当局は「担当の観光課が桟橋の安全確認を行っている。工事については、漁協などと協議を進め、来年度予算の確保を要望したい」と説明した。

観光船の乗り降りにかかせない桟橋(友ヶ島)㊤、想定外に発見された岩盤(市提供)

観光船の乗り降りにかかせない桟橋(友ヶ島)㊤、想定外に発見された岩盤(市提供)