下落率縮小、上昇地点3倍に 地価公示

 土地取引の基準となる平成27年1月1日現在の地価が全国一斉に公示された。県全体の対前年平均変動率は2・5%下落(前年3・4%下落)で、住宅地・商業地ともに同4年から24年連続の下落となったが、下落率は同24年から4年連続で緩やかに縮小。169継続調査地点のうち、上昇したのは17地点で前年(6地点)の約3倍に増えた。横ばいは13地点(前年12地点)。

 【住宅地】1平方㍍当たりの平均価格は4万4400円(前年比2・6%下落)で、前年(3・5%下落)より下落率が縮小。居住環境に優れる地域では価格が下げ止まり、田辺市の高台、岩出市高瀬、和歌山市太田など計8地点で上昇した他、県内4地点で横ばいとなった。人口減少地域の既成集落や海岸沿いの低地などの需要は低く、各地で依然として高い下落率を示す地点が見られる。
 最も価格水準が高かったのは、6年連続で「和歌山市芝ノ丁21番」となり、14万6000円(1・4%上昇)。

 【商業地】同平均価格は8万7600円(前年比2・1%下落)で、前年(3・0%下落)より下落率が縮小。和歌山市中心部(黒田など)7地点とJR和歌山駅付近2地点の計9地点で上昇した他、同市内8地点と岩出市の1地点で横ばいとなった。地域経済の回復の遅れ、郊外型店舗への顧客流出などにより、多くの既成商業地域は引き続き下落傾向にある。
 最も高かったのは16年連続で「和歌山市友田町5丁目50番外」となり、横ばいの43万8000円。

 【工業地】平均価格は2万2500円(前年比5・4%下落)で前年と同じ下落率。津波災害リスクの懸念などで内陸型工業団地が好まれ、臨界地区の工場立地需要は弱い。


 県地域政策課は下落率の縮小や上昇地点の増加について、「そろそろ下げ率が落ち着いて値ごろ感が出てきたのでは。変動率や上昇・横ばいの地点数は、ようやくリーマンショック(同20年)前の水準に戻ってきている」と話している。調査は選定替え4地点を含め、前年と同じ計173地点で行われた。

16年連続で県内商業地の最高価格地点となった和歌山市友田町

16年連続で県内商業地の最高価格地点となった和歌山市友田町