県内初 不整脈治療カテーテル室新設

 和歌山市小松原通の日赤和歌山医療センターは、高齢者に多く発生する心臓の上部の筋肉が細かく動く「心房細動」などの不整脈治療に特化したカテーテル室を県内で初めて新設した。設備投資額は約7億2000万円。

 カテーテル治療は、太ももの付け根の動脈から細い管を挿入し、患者にX線を当てて体の内部を透視しながら心臓などまで誘導し、高周波で患部を焼いて治す比較的新しい治療法。心房細動は、2040年には有症者が100万人に達すると見込まれている身近な病気になっているという。血の塊が時に脳に移動し、脳梗塞に発展するケースもあるという。

 治療は、昨年9月に同センターに着任した、国内やドイツなどで2000例以上のカテーテル治療の臨床経験を積んだ循環器内科部の花澤康司医師(40)が担当する。

 今回導入されたシステムの大きな特長は、アームのようになった2カ所から出るX線で患者を360度撮影。これまで平面だった心臓などのX線映像の3D化が実現し、医師が治療しやすくなった他、放射線量が従来の半分程度でよくなり、患者の負担が軽減されるという。

 同センターでは、平成23年からカテーテル治療を非常勤の専門医が実施。24年に60件超、25年に84件、26年に110件と年々増加していた。本年は花澤医師の常勤により、約200件程度の治療が見込まれている。

 花澤医師は「今回のシステム導入により、より安全に治療が行える他、常勤医師により患者に寄り添った治療が行えます」と話している。

X線映像を3D映像化する装置と解説する花澤医師

X線映像を3D映像化する装置と解説する花澤医師