一般財源は前年度並み 28年度政府予算案

 平成28年度政府予算案が24日、閣議決定された。一般会計総額は前年度当初予算より0・4%増え、当初予算としては過去最大の96兆7218億円。自治体が自由に使える一般財源は、前年度を1000億円上回る総額61兆7000億円が確保され、仁坂吉伸知事は「地方の安定的な財政運営に資するもので、評価している」とした。

 一般財源は、景気回復に伴う地方税の増収により臨時財政対策債が3兆8000億円(前年度比7000億円減)と大幅に抑えられた一方、地方交付税が16兆7000億円(同1000億円減)と前年度並みとなった。

 また県が要望していた、地方創生の取り組みを支援する「地方創生推進交付金」が創設され、1000億円(国補助率2分の1)が計上された。使途は、官民協働や地域間連携による先駆性のある取り組み、既存事業の障害を打開する取り組みなどとされ、県企画総務課は「『県まち・ひと・しごと創生総合戦略』(ことし6月策定)に掲げた目標の達成に向けて、交付金を有効活用し、地方創生の取り組みを一層推進する」としている。

 公共事業費は、高速道路や幹線道路ネットワークの整備を推進する道路関係予算に1兆6600億円、県内幹線道路の整備に関する社会資本総合整備に2兆円など、前年度並みの総額6兆円を確保。仁坂知事は、南海トラフ地震などの大規模災害による犠牲者ゼロを実現するための河川・海岸堤防の強化や、企業誘致や産業振興にも資する紀伊半島一周高速道路の早期整備に向けて、「予算の優先的な配分がなされるよう、国に強く働き掛けていく」としている。

 不妊治療対策の充実では、不妊治療の経済的負担の軽減を図るために県が要望していた特定不妊治療(体外受精)費の助成額引き上げについて、初回助成額が15万円から30万円に増額されるとともに、男性不妊治療費の助成拡大(精巣内精子回収法を実施した場合に15万円上乗せ)が国予算に盛り込まれた。同時に要望していた、不妊治療を医療保険の適用対象とすることについては現時点では対象とされず、県は今後も働き掛けを続けるとしている。

 強い農業づくりに必要な共同利用施設などの整備予算は208億円と前年度比90%に減額されているが、環太平洋経済連携協定(TPP)関連対策として27年度補正予算に計上された「産地パワーアップ事業」505億円を含めると、前年度比175%の713億円に増額した。