貴志川線に学ぶ 地方鉄道を守る団体集う
平成16年に貴志川線存続を求めて発足した「貴志川線の未来を“つくる”会」(濱口晃夫代表)と「ふるさと線を守る東日本連絡会」の交流10周年を記念する講演会が24日、和歌山市伊太祈曽の伊太祁曽神社(奥重視宮司)で開かれ、ローカル鉄道の存続活動に取り組む各地の団体が集い、抱える課題などについて学びあった。
開会あいさつで濱口代表は、貴志川線について「行政の運営費補助打ち切り後、新しい形態での支援が受けられることになったが、廃線の危機を忘れず、沿線住民の利用促進に取り組んでいきたい」と述べ、同連絡会の藤代東洋夫事務局長は「廃線の危機にある各線の沿線住民に話を聞くなどして十分調査し、都心で運動を展開している。今後も継続したい」と話した。
「地方鉄道、再生の成果と課題=10年の経験から=」と題して講演した和歌山電鐵㈱・岡山電気軌道㈱の礒野省吾専務は、同社が貴志川線再生事業を引き受けた経緯について「地方鉄道再生のモデルをつくりたかった」などの思いとともに、同社の小嶋光信社長の「皆が反対するなら、やりましょう」との「宇宙人的」な一言が挑戦を決定づけたと明かした。
同社の「いちご電車」や「おもちゃ電車」のアイデアをまねる事業者があることについては「成果の一部」と評価し、貴志川線の今後の課題については厳しい財政状況を挙げ、利用者のさらなる増加が必要と話した。
参加した「みんなで乗って残そう神戸電鉄粟生線北区連絡会」の佐藤フミ子さんは「地域住民、自治体、鉄道会社の三者が一体となって貴志川線を再生させた事例はまれなことで、感動的です」と話していた。
講演会の後、希望者による宿泊交流会も開かれ、参加者は紀の川市貴志川町の大池荘で夕食を交えて交流を深めた。