2017年の政治、経済の行方 ―トランプリスク

2017年がスタートしました。今年はどのような年になるのでしょうか。昨年は、英国のEU離脱や米国大統領選挙でのトランプ氏の勝利など、行き過ぎたグローバリズムに対する反動とも言える現象が起きました。シリア内戦やISによる難民へのヨーロッパの反応も内向きのものでした。今年は、オランダ、独、仏での選挙などで、極右勢力がどの程度伸びてくるのか予断を許しません。何より、トランプ新大統領がどのように振る舞うのか、誰も予想ができません。また、中東や南シナ海、北朝鮮をめぐる地政学的なリスクは引き続き大きなものとなっています。

経済面では、減税、インフラ投資を約束したトランプ効果による米国経済への期待から、ドル高円安になって、日本の株価も持ち直してきています。新興国からの資金還流で、米国の株価もうなぎ上りですが、新興国の通貨安、特に中国経済への悪影響も考えられます。

トランプ大統領は、就任後も、TPPの離脱、NAFTAの再交渉、日米自動車貿易の不公平批判など保護貿易主義の姿勢を強めています。米国の労働者は1億5000万人で、その内製造業は1割しかありませんし、ツイッターで1000人単位の雇用を守っても意味がありません。安い輸入品に高い関税をかければ、結局、所得の低い労働者層が苦しみます。どこまで本気なのかわかりません。

一方、米国製造業の復権を主張するトランプ政権にとって、輸出を抑制するドル高は困ります。いずれ、どこかのタイミングで急激なドル安円高へ反転する可能性があるとマーケットは予測しています。さらに、イタリア、ギリシャなどで金融危機が発生しますと、安全資産である円が高騰するリスクもあります。
逆に、産油国の減産合意による原油高と円安により日本の物価が上がりますと、3年前のように賃金の上昇が物価に追いつかず、消費にはマイナスになります。円高による株価下落リスクとの兼ね合いで、為替の水準からは目が離せません。

ゲンを担ぐマーケットの皆さんからは、西暦で7のつく年は金融危機が起きるという話も聞きます。2007年サブプライムローン破たん、1997年アジア通貨危機、1987年ブラックマンデーなどなど。いたずらに弱気になる必要はありませんが、政治、経済の両面において、最悪の状況を想定して、リスク管理をしていくことが大切だと考えます。