女性刑務官と意見交換 上川法相が県内視察
上川陽子法務大臣が14日に来県し、和歌山地方法務局や更生保護施設など法務省関連の県内施設を訪れた。各施設の協力体制や取り組みを視察し、和歌山市の和歌山刑務所では離職率の高さが指摘されている女性刑務官と直接意見交換し、職務の現状などを聞いた。
今回の視察は、政府が「再犯防止推進計画」を今月中にも閣議決定するのを前に行ったもので、上川法相は13日に大阪府内の更生保護施設などを視察した後、県内入りした。
和歌山刑務所では鈴木礼子所長が施設内を案内。受刑者が作業を行う工場や生活スペースである収容棟などを見て回った後、女性刑務官と意見交換した。
女性刑務官の離職率は、平成23~25年度採用のうち3年未満での離職が全国で43・2%。和歌山刑務所では48・8%と高くなっている。
上川法相は「女性の活躍が大事だが、全国的に女性刑務官は離職率が高い。継続して働けるようにどう環境を整備していけばいいのか、率直な意見や悩みを聞いて、より良い環境がつくれるように頑張りたい」とあいさつ。意見交換は非公開で行われ、20代から40代まで、さまざまな部署の若手職員や子育て中の職員ら8人から勤務状況を聞き、女性受刑者の処遇についても話し合った。
意見交換後の記者会見で上川法相は、和歌山刑務所については「高齢者や摂食障害の人、外国人も多く、細やかな対応が求められる中で一丸となって取り組む志の高い現場を見た。介護と看護の専門職に入ってもらい、スキルアップした対応ができるのは有意義。さらに力を入れていきたい」と発言。女性刑務官の離職率については「刑務官の仕事には結婚がまだ壁になっていると感じた。先輩の実例を共有して自分の問題として考えてもらい、継続して就労できるようにしていきたい」と述べた。
上川法相はこの日、法的トラブルを解決する窓口「法テラス和歌山」や更生保護施設「端正会」(いずれも和歌山市)なども訪問した。