家康紀行(47)歴代将軍も崇拝「富士山本宮浅間大社」
新しい年を皆さまはいかがお迎えでしょうか。おかげさまで本コーナーは8年目に入ります。ことしも読者の皆さまに、和歌山の魅力や縁のある歴史、他府県での優良事例など、有意義な情報をお伝えできるよう努める所存です。
◇ ◇
昨年は1年を通して家康が生まれた岡崎から浜松、駿府へと家康の生涯を追ってきた。長期にわたる現地取材を通し、これらの周辺地域で知り得た、皆さまにお伝えしたい情報を「家康紀行・番外編」として紹介したい。
静岡県富士宮市にある「富士山本宮浅間(せんげん)大社」は全国に1300ほどある浅間神社の総本社で、世界文化遺産「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一つ。富士山を神体山として祭る神社で、本宮は富士山山麓に位置する富士宮市に、奥宮は富士山の頂上にある。
本宮の本殿は家康による造営で国の重要文化財に指定。「浅間造」と呼ばれる2階建ての社殿が特徴の建築様式が用いられ、朱色の社殿と澄み切った青空、遠くに望む富士山のコントラストに圧倒される。歴代将軍の崇拝があつく、祈祷料や修繕にかかる費用の寄進、三奉行の裁許による富士山8合目以上の寄進など、江戸幕府との関わりが強かったという。
富士山頂へと続く富士山登山道の一つ「大宮・村山口登山道」の起点にあたることから、修験者からの崇拝も受けていたという。富士山頂への登山は容易ではないが、本宮の鳥居越しに望む富士山を見上げ思わず手を合わせてしまうのは、日本人の本能のようなものだろうか。
(次田尚弘/富士宮市)