那賀高初の全国入選 NHK杯ラジオドラマ
県立那賀高校(和歌山県岩出市高塚、歌保晴校長)放送部が「第65回NHK杯全国高校放送コンテスト」の創作ラジオドラマ部門で初の入選(5位相当)を果たした。海辺の小さな村に東京から移住してきた鍼灸師と村人の交流を描いた作品で、日本各地が豪雨や猛暑など自然の猛威に見舞われる中、「穏やかな日常生活のありがたさを感じてほしい」との思いを込めた。部員たちは喜びに沸いている。
同コンテストは全国放送教育研究会連盟とNHKが主催し、全国大会は7月24~26日に東京都のNHKホールなどで開催。都道府県予選を通過した533校が参加し、創作ラジオドラマ部門には98点の出品があった。
入賞した那賀高の作品は『富野鍼灸整骨院 本日は晴天なり』。人口334人の海辺の村が舞台で、主人公は地元の高校に通う少女。東日本大震災をきっかけに田舎暮らしへの志向を強めた鍼灸師が東京から村に移住し、少女も鍼灸整骨院の仕事を手伝うなど、住民と鍼灸師の交流は深まっていく。ホタルが多く飛ぶことで知られる村である日、村を大雨が襲い、高齢の男性がホタルの餌となるカワニナの様子を見に河原に出掛け、行方不明になってしまう。幸い発見され住民は胸をなで下ろすが、この出来事を機に住民らは穏やかな日常のありがたさを実感する。
8分間の作品には部員7人全員が出演し、和歌山弁で小さな村の人々の交流を表現。舞台の村は日高川町の寒川(そうがわ)地区をイメージした。
審査員からは「雨やバイクの音、カエルの鳴き声などが聞こえ、村の情景がすぐに浮かぶ」などの評価が寄せられたという。
顧問の茂田美珠穂教諭は「やれるところまでやり、これで駄目だったら納得できる」という気持ちで臨んだと話し、部員たちは「入選」がモニターに表示された瞬間「うれしくて興奮した」と口々に振り返った。2年生の栗栖千奈さん(16)は初入選の快挙について「先輩方がずっとつないできてくれたものが形になったと思う。来年はもう一段上の『優良』を目指します」と力強く話した。