津田出の資料92点寄贈 古美術商の大西さん
幕末・明治期に活躍した紀州藩士・津田出(いずる)〈1832~1905〉の書や写真などの関係資料が、古美術の㈱大西屋(和歌山県紀の川市花野)社長の大西勝さんから和歌山市立博物館に寄贈され、17日、市役所で尾花正啓市長が大西さんに感謝状を贈呈した。
津田出は和歌山市出身。明治を迎えた紀州藩で徴兵制を施行し、近代的軍隊の育成を進め、綿ネルや皮革業を地場産業として成長させるなど藩政改革に尽力。その力量は西郷隆盛や大久保利通からも絶賛され、明治新政府でも陸軍少将などを歴任し、元老院議官、貴族院議員も務めた。
今回寄贈されたのは、津田に関係する資料41件92点。大西さんは今春に訪れた和歌山市内の旧家の蔵で、津田が詠んだ和歌の短冊や、津田が仕えた最後の紀州藩主・徳川茂承(もちつぐ)の功績をたたえた書「詠徳川中納言(とくがわちゅうなごんをえいず)」、津田の弟で初代和歌山県知事の正臣が書いた詩書屏風(びょうぶ)など数百万円相当の関係資料を発見した。
しばらく自宅の倉庫に資料を保管していたが、全国に散逸するよりも地元に置いておいたほうが良いと思い、市立博物館への寄贈を決めた。同館にも津田の資料は少なく、100点近い資料が新たに見つかったことに驚いているという。
市長室で行われた感謝状贈呈式で、大西さんは「地元で残したいと思った。今後も市に関わるものであれば寄贈したいし、博物館を盛り上げていかなくてはと思う」と話し、尾花市長は「明治維新150年の年に明治に活躍した津田の資料を頂けるのはうれしいこと。歴史的資料が少ないので、収集のため今後も協力してもらいたい」と感謝した。
資料の展示は同博物館で11月ごろからを予定している。