浪早ビーチ沿い市道砂で埋まる 高潮被害も

4日、非常に強い勢力を保ったまま和歌山県内を襲った台風21号。和歌山市では午後1時19分、観測史上1位の最大瞬間風速57・4㍍を記録するなど猛烈な風が吹き、各地で建物の一部が吹き飛び、電柱が倒れ、自動車の横転などが確認された。満潮の時間帯と重なったため、沿岸部では高潮による浸水被害なども発生した。

 県内は4日午前11時ごろから午後4時ごろにかけて台風の暴風域に入り、御坊市では午後0時48分、潮位がこれまでの最高だった1㍍63㌢を大きく超える3㍍16㌢に達した。

 和歌山市の紀ノ川大橋では強風にあおられたトラックが横転し、南行き車線が一時通行止め。南海和歌山市駅に近い杉ノ馬場では店舗兼住宅の2階部分の壁がはがれ、歩道に崩れ落ちた。県都のメインストリートである「けやき大通り」では倒木が複数発生し、三木町交差点付近では大型看板が強風で倒れた。西浜の和歌山港に近い工場街では、突風で電柱が根元から折れ、連続して設置された数本が倒れこむように道路をふさいだ。

 小人町南ノ丁では空き店舗3階側面の看板部分(約5㍍×7㍍)が強風の影響で大きくはがれ、設置された室外機があらわになり、隣接する住宅の2階ベランダの屋根に接触、一部が破損した。

 隣に住む70代の男性は、すぐ下の駐車場に駐車していた車2台を慌てて移動したといい「お昼1時半から2時ごろまでの間、風も雨も強い時間帯だった。バキバキッとものすごい音がしたので、何事かと思った」と驚いていた。

 高潮の被害では、雑賀崎の工業団地で建物が浸水。環境省の「快水浴場百選」に選ばれている田野の浪早ビーチでは、波で打ち上げられた砂がビーチ沿いの市道を約40㍍にわたって覆い、一時車両が通行できない状態となり、午後5時ごろから砂の撤去作業が進められた。地元の消防団員の男性は「台風の時には砂が打ち上げられるが、こんなに多いのを見たのは初めて」と話していた。

高潮で打ち上げられた浪早ビーチの砂を撤去する作業員ら(和歌山市田野、4日午後5時50分)

高潮で打ち上げられた浪早ビーチの砂を撤去する作業員ら(和歌山市田野、4日午後5時50分)