明るく快適に 小学校トイレ洋式化進む

 全国の小・中学校でトイレの洋式化や男女別化が進む中、和歌山市内の小学校でも整備が進んでいる。時代の流れとともに和式を使えない子どもが増え、「暗い」「汚い」といったイメージがある学校トイレは敬遠されがち。また年頃の子どもたちにとって、男女で簡易な間仕切りだけというのも恥ずかしさから利用しにくく、排便を我慢する子も少なくなかった。トイレ整備は子どもたちのストレスを和らげ、健康で快適な学校生活が送れると期待されている。

 和歌山市の小学校では、昨年度は中之島、雑賀、楠見、吹上、木本の5校、本年度は広瀬、砂山、新南、四箇郷、西脇、野崎、名草、太田、高松、宮北の10校で夏休み期間などを利用して工事が行われた。

 市教委によると、工事費用は昨年度は約1億9000万円、本年度は約3億8250万円程度。工事は予算を有効利用するために、校内全てのトイレを一度に改修するのではなく、まずは1校でも多くの小学校に洋式トイレを整備することを優先し事業が進められている。

 総務省統計局の調査(2008年度)によると、家庭における洋式トイレ保有率は89・6%で、2006年から8年に建築された住宅の洋式トイレ保有率は99・4%と、家庭のほとんどのトイレが洋式と言っても過言ではない。

 洋式に比べ、不衛生なイメージが強い和式から、明るくきれいで男女が完全に分けられたトイレに整備することで、それらの抵抗感を払拭(ふっしょく)し、子どもたちが使いやすいトイレにしていくことが事業の大きな目的となっている。

 さらに小学校は災害時、避難所となるため、洋式化は同時に高齢者や障害者の利便性向上にもつながると考えられている。

 新しく完成したトイレは、照明や手洗い場の蛇口、トイレの洗浄排水など全てがセンサーで作動し、車椅子利用者が使える多目的トイレも併設された。

 文部科学省の調査(2016年4月実施)によると、公立小中学校の洋式率は全国平均43・3%。県は31・1%と全国平均を下回り、小学校が32・6%、中学校は27・3%にとどまっている。

 市内で見ると、小学校は昨年度の30・7%から本年度36・7%と6%上昇したものの、中学校は28・2%とまだまだ高いとは言えない状況にある。

 同市教育施設課の原田勝誠課長は「本年度、市内全ての小中学校でエアコンの設置が完了した。子どもたちが安全で健やかな学校生活を送れるよう、施設の充実を目指しさまざまな事業を進めていきたい」としている。

きれいに整備されたトイレ(野崎小学校)

きれいに整備されたトイレ(野崎小学校)