多様な人が働きやすく 菱岡工業新社屋完成
ハーネス加工や電気機器の開発設計などを手掛ける菱岡工業㈱(本社=和歌山県和歌山市中島、岡田亜紀社長)と、障害者の就労支援事業所を運営するNPO法人ジョイ・コム(住所、理事長とも同じ)の合同新社屋が本社敷地内に完成し、21日に竣工式と落成祝賀会が行われた。紀州材が縦格子に使用された外観や1階店舗スペースに描かれた壁画は目を引き、地域の新しいランドマークとなりそうだ。
子どもを持つ親をはじめ多様な人が働ける環境を整えたいと、元幼稚園教諭の岡田社長の思いから建設された新社屋で、鉄骨造り4階建て、建築面積約740平方㍍、延べ床面積約1960平方㍍、総工費は約6億円となっている。
1階には従業員用の食堂と厨房、ジョイ・コムが運営するチョコレート専門店の2号店「toco*towa DELI」、菱岡工業運営の「わっしょい保育園」を設置。2階はジョイ・コム、3・4階は菱岡工業のフロアで、屋上には保育園児の遊び場やレクリエーションの場となる多目的広場を設けた。天井や内壁、家具にも紀州材をふんだんに使い、開放的で温かな空間に仕上がっている。
設計は㈱アーキヴィジョン広谷スタジオ(東京都新宿区、広谷純弘代表取締役)、施工は㈱川嶋工業(本社=岩出市山、川嶋清治代表取締役)が手掛けた。
1階の「toco*towa DELI」は、県産フルーツや厳選したチョコレートをコラボレーションした「和歌山ショコラ」を提案する専門店。吹き抜けの高い壁とアーチ上の天井には、大阪府泉大津市出身の壁画絵師・木村英輝さんが壁画を施した。和歌山城の方角へと空を舞う極楽鳥とカカオの実が鮮やかな色彩で一面に描かれ、美しい絵を見上げながらチョコとカフェを楽しめる空間となっている。
竣工式典には県や和歌山市、設計、施工関係者らが集い、日前宮の神職により神事が行われた。祝賀会に移り、新社屋正面前で岡田社長と来賓らがテープカットを行い、壁画に最後の筆を入れて完成させた。出席者は案内を受けて新社屋内を見て回った。
岡田社長は「先代から受け継いだ事業と従業員を守ろうと進んできた。新社屋が建設できたのは皆さまのおかげ」と感謝。新社屋に厨房ができたことで、障害者の就労支援に調理の仕事が加わることなどを挙げ、事業の発展を喜んだ。