大声援で選手に力を 智弁応援団が懸命練習

第91回選抜高校野球大会の開幕が23日に迫り、準優勝だった昨年の雪辱に燃える智弁和歌山では、応援団や吹奏楽部も、連日ハードな練習に明け暮れている。アルプススタンドを盛り上げ、グラウンドの選手に力を届けようと頑張る生徒たちのひたむきな汗が光る。

「カッセーカッセー智弁」「行け行け史陽」――。和歌山県和歌山市冬野の同校では、毎日夕方になると応援団リーダー部員の迫力ある声が響き渡る。部員は1、2年生約20人で、野球部の大会が近づくと生徒有志が応援団を組織する。今回は3月初旬に結成し、毎日約2時間の練習を続けてきた。団長の田倉拳太君(2年)によると、リーダー部を志望する生徒は多く、学業成績や抽選で希望者の半数程度に絞られるという。

練習時は体操服にはだし。部員たちは芝生にあおむけになり、両足と頭を上げたV字の体勢で校歌を歌う。立ち上がっての応援歌の練習では、田倉君が「ジョックロック」「アフリカンシンフォニー」などを口ずさむと、部員たちは手足を前後左右に動かして応援のポーズを取りながら「行け行け智弁」「かっとばせ」などと声を張り上げる。「小休止」の合図が掛かると、部員たちは水筒がある場所へダッシュ。飲むとすぐに走って練習場所に戻り、腕立て伏せやランニングに励む。

運動部顔負けの厳しいトレーニングだが、甲子園での長時間の応援は体力が必要になる上、「グラウンドに立っている選手たちに応援を届けようと思ったら、追い込んだ練習をしないといけない」との部員たちの思いがある。「選手たちはもっと大変。頑張ろう」を合言葉に練習を乗り越えているという。

顧問の坂上寿英さん(38)は「最初は10回連続で腕立て伏せができない生徒もいますが、毎日の練習で全員が軽く50回はできるようになっています。200回できる子もいますよ」と部員たちの努力に目を細める。

小学校から智弁に通い、甲子園で何度も選手と応援団の姿に感動してきた田倉君は、高校生になると応援団に志願し、今回が4度目の聖地での応援となる。

「高校野球の応援は特別。最近は野球部が特に強いので、リーダー部を志望する人も増えている。昨夏の応援を経験している人も多く、練習は順調です」と話し、開幕を心待ちにしている。

練習で声を張り上げるリーダー部員

練習で声を張り上げるリーダー部員