壮麗な時代絵巻広がる 2年ぶりの和歌祭
紀州東照宮(和歌山県和歌山市和歌浦西)の大祭「和歌祭」が12日、和歌浦一帯で盛大に行われた。祭の始まりを飾る神輿(みこし)おろしでは、140人の男衆が神輿を担いで本殿から続く階段を勇ましく下り、渡御行列では和歌浦一帯が時代絵巻に彩られた。
江戸時代初期の1622年、初代紀州藩主の徳川頼宣が父・家康の霊を慰めるために始めた藩の祭り。明治時代には「日本三大祭」の一つにも数えられた。昨年は雨で中止になったため、快晴の下、2年ぶりの開催となった。
神輿おろしでは、白装束の男たちは「チョーサー! チョーサー!」と独特の掛け声に合わせて108段の石段を下り、参道を抜けて東照宮会館前に着くとみこしを激しく揺らしながら歩いた。
渡御行列の出発式では、和歌祭保存会の和中美喜夫会長が「令和初の和歌祭。行列で披露する技は口伝で伝えてきたもの。(2020年の同祭開始)400年に向けて頑張ってほしい。時代絵巻に入り込んで楽しんでもらいたい」とあいさつ。実行委員会の中山豊若委員長の「エイエイオー!」の掛け声で行列は東照宮を出発した。
高く響く打鉦の音に先導されるように、雅楽を演奏しながら歩く怜人(れいじん)や反物の入った櫃(ひつ)を背負い傘を回す連尺など約40の演目が和歌浦漁港や片男波海水浴場など和歌浦一帯を練り歩いた。喜怒哀楽を表現するお面を着け、泣かされた子どもは健康に育つといわれる面被(めんかぶり)は、沿道の子どもたちに鳴り物を鳴らして驚かせていた。
三葛から訪れた矢動丸要子さん(51)は「和歌山に移り住んで初めて来ましたが、想像よりもスケールが大きくて驚きました。見に来て良かったです」、娘の真ゆきちゃん(7)は「お面(面被)に驚かされて怖かった。お相撲さんが歩いてるのが見られた」と話していた。