明・清から残る商店街も 山東省視察ツアー
和歌山県と中国・山東省文化・旅游庁が共催した同省のプロモーションツアー「ファムトリップ」は3日目の22日、淄博(しはく)市などを訪れ、春秋・戦国時代に栄えた斉の国の歴史にまつわる文化財や、明・清王朝時代の一大商業地域で、当時の街並みが残る「周村古商城」などを視察した。始皇帝の命令で海を渡り、新宮市で死去したとされる徐福に関する博物館の展示もあった。
県内外の旅行業者らが参加した一行は同日午前、前日から宿泊した泰安市内の「岱廟」を訪問。道教の聖地・泰山の南麓に位置し、中国の皇帝たちが泰山の神を祭り、祭祀を行ってきた約9・6万平方㍍の広大な場所であり、中国三大宮殿の一つに数えられる天貺殿(てんきょうでん)や、漢の武帝が手植えした2100年を超える歴史があるとされるヒノキ、清の乾隆帝が宿泊した屋敷などを歩いて回った。
泰安市を後にし、淄博市へと向かう途中、済南市内で斉の時代の長城が残る錦陽関を視察。異民族の侵入を防ぐために築かれた万里の長城の中でも、約2600年前の春秋時代にさかのぼる最も古いもので、壁の高さは最大7・5㍍、厚さは最大6㍍に達する。現在、修復作業が続けられており、現地文化財担当者らから説明を受けた。
淄博市へ移動し、市文化・旅游局幹部らの歓迎を受け、伝統料理で昼食を共にした後は、周村古商城のメインストリート、約500㍍の「大街」を歩いた。
周村古商城は明・清時代の重要な商業地域で、豪商たちが莫大な取引を行い、「陸の港」とうたわれた。大街は両時代のさまざまな建築様式が街並みに残されていることから「生きた建築博物館群」とも呼ばれ、張芸謀(チャン・イーモウ)監督の映画『活きる』をはじめ映画やドラマのロケ地としても知られる。
中でも著名な店の一つはチャイナドレスなどのシルク製品を手掛けている「瑞蚨祥」。孟子の69代目の子孫が創始し、1949年に中華人民共和国が建国された際、周恩来総理からの指定で、天安門に初めて揚がった国旗の布を作った。
1850年創業の「周村焼餅」の伝統的なせんべいは、日本の福田康夫元首相をはじめ各国の要人への贈り物にも使われている。
続いて、同市内の斉文化博物館を見学。「太公望」の呼び名で知られる周の軍師・姜子牙が斉を建国する以前から漢の時代に至る歴史を、貴重な文化財とともに紹介している。
不老長寿の薬を求める始皇帝の命令により東の海へ出発した徐福の船団を再現した模型の展示もあり、徐福が和歌山県に渡ったとされ、新宮市に墓があることが説明されていた。