真砂配水場を本格運用 災害時の給水拠点に
和歌山市中心部の水道の安定供給を担い、災害時の緊急給水拠点となる「真砂配水場」が、吹上の真砂浄水場の敷地内に完成し、3月下旬に本格運用を開始した。耐震性のある配水池や自家発電装置を備え、市企業局水道企画課は「ライフラインである水道の安心が高まった」と話している。
市は、老朽化した水道施設の更新や配水経路の変更などを進めており、真砂配水場の整備もその一環。本町、城北、広瀬、雄湊、吹上、砂山、中之島の7地区にまたがる約1万2000世帯、2万7000人を給水範囲とし、総事業費約36億円をかけ、2011年度から整備を進めていた。
従来は、有本水源地から紀の川の原水を真砂浄水場に引きこみ、水道水を作っていたが、水源地、浄水場とも1925年の稼働開始で老朽化していることや、人口減に伴う給水量の減少などを受け、経路を変更した。
加納浄水場から秋葉山配水池への送水管を手平の国体道路地下から分岐させ、真砂配水場まで約1・6㌔にわたり、直径45㌢の送水管を新たに整備。幹線道路の地下であり、交通への影響を最小限とするため、地表を掘って埋め戻していく方法ではなく、掘削機で地中を掘り進め、送水管を設置していくシールド工法を採用した。
完成した真砂配水場は、地下に容量7000立方㍍(3500立方㍍×2)、25㍍プールで約20杯分の配水池を備え、給水地域の半日分程度の水量をためておくことができる。
ポンプ棟には送水用のポンプ4台を設置し、災害などで停電した場合には72時間稼働できる自家発電装置もある。
屋外には、給水車などに水を供給する給水栓を設け、災害時などに断水した際は、給水拠点としての役割を担う。
19年3月に一部設備の運用を開始し、施設がほぼ完成したことし2月中旬から試験運用を始め、工事後の検査などを終え、3月29日から正式に本格運用となった。配水場の完成に伴い、真砂浄水場は廃止される。
水道企画課の村上倫章課長は「耐震性を有し、緊急時には給水拠点として活用できる施設に生まれ変わった。市民の皆さんに、より安定した給水が可能になった」と話した。