根来塗の奥深さ感じて 松江さん近鉄で個展
昨年12月に文化庁表彰を受けた根来寺根来塗宗家池ノ上辰山(しんざん)さんの直弟子、松江那津子さんの個展が16日まで、和歌山県和歌山市友田町の近鉄百貨店和歌山店5階画廊で開かれている。
根来塗は「中世最高の漆物」と呼ばれ、全26工程をかけて仕上げる。黒漆を下地に塗り、朱漆を丁寧に重ねる。耐久性に優れ、使うほどに味わい深く、艶が出るという。
松江さんは海南市出身。大阪府立大学農学部で樹木の勉強をし、根来塗に魅せられ独学した後、池ノ上さんに師事。中世の技法を今に伝える根来塗で「日本人らくし美しい食事を」を大切に制作している。個展は今回で3回目。
展示しているのは約400点。初挑戦した「縁根来長形板(えんねごろちょうけいいた)」は角と縁を根来塗で塗り、中央部分は木目を際立たせて見せている。また、口当たりが良く使いやすい「端反椀(はたぞりわん)」も好評だ。
作品を購入した大阪府阪南市の50代男性は「良い作品があり、素晴らしいものばかりだった」と満足げだった。
松江さんは「伝統の技法に初めて挑戦した。奥深さを感じてもらえれば」と話している。
午前10時から午後6時半(最終日は4時)まで。