極楽橋駅がリニューアル 天空も運行再開へ

高野山駅へのケーブルカーが発着する極楽橋駅(和歌山県高野町)のリニューアルを進めている南海電鉄㈱は、オープンの日が20日に決まったと発表した。同駅は1929年に開業し、駅舎は木造。同社によると、駅前に民家や商店などがないこともありケーブルカーと高野線の乗り換え以外に利用する人はわずかで、一日の平均乗降人員(2019年度)は56人にとどまっているという。同社広報部は「現在は単なる乗り換え駅になっているが、リニューアル後は駅自体も楽しんでいただきたい」と話している。

リニューアルは同駅を「高野山参りのはじめに必ず訪れたい場所」にしようと、駅舎内コンコースの天井を装飾。高野線側は黒色で俗世を表現しており、極楽にすむ動植物など50種類のイラストが描かれた天井絵巻を眺めることができる。ケーブルカー側は赤色で聖域を表現しており、高野山でしめ縄の代わりに使われる縁起物の切り絵「宝来」を鑑賞することができる。また、同駅と高野山駅間の約330㍍を結ぶケーブルカーの車内でも天井の装飾を楽しむことができる。

コンコースには水槽の底にガラスアートを使用した手水舎や、紅白のペーパーフェザーに願いや決意を書いてスタンドに飾る願掛羽も設置。同駅では現在グッズを販売していないが、リニューアル後は御朱印帳や手ぬぐい、ネイルケアセットなど14商品の取り扱いを予定。20日以降は同駅を区間内に含む乗車券を持っている場合、利用当日に限り同駅で途中下車することができるようになる。

また、同社は新型コロナウイルス感染症の影響による利用客の減少などを受け、4月24日から全便運休していた高野線の観光列車「天空」について、20日から運行を再開すると発表した。天空は2009年から橋本駅と極楽橋駅の間で運行しており、車体のカラーは高野山の根本大塔をイメージした朱色と沿線の山岳地帯を表わす緑色を採用。大型の窓や展望デッキからの眺めが人気となっている。

運行再開の記念イベントとして、20日は橋本駅を午前10時13分に発車する天空の指定席車の乗客に町内産の地ビール「天空般若」をプレゼントする他、8月4日、21日、9月4日、18日に真言宗総本山金剛峯寺の僧侶が天空に乗車し、仏教や高野山についての法話を行う。

指定席の事前予約は天空予約センター(フリーダイヤル0120・151519)。

 

赤色の天井で聖域を表現したコンコース(南海電鉄提供)