県関係は13人に栄誉 春の褒章決まる
2021年春の褒章が29日に発令される。和歌山県関係の受章者は43~80歳の13人(男性7人、女性6人)。内訳は各分野の業務に精励し模範になる人に贈られる黄綬褒章が4人、公衆の利益や公同の事務に尽力した人に贈られる藍綬褒章が9人。拝謁と各省での伝達式は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止。県庁での伝達については5月10日を予定している。
今回を含めた県内の受章者数は1112人(黄綬500、藍綬601、緑綬5、紫綬6)となる。受章者は次の皆さん。
【黄綬】井上弘一(74)司法書士、和歌山市小松原▽岡本恒男(66)司法書士、御坊市熊野▽川口吉雄(62)土地家屋調査士、紀の川市打田▽角幸彦(60)㈲ハウジングギャラリー取締役、御坊市湯川町
【藍綬】大川昌生(80)新宮市選挙管理委員会委員、同市相筋▽奥山優香(43)元小売物価統計調査員、和歌山市西浜▽小倉正基(59)県クリーニング業生活衛生同業組合理事長、和歌山市一筋目▽杉本昌子(73)元民生・児童委員、海南市黒江▽鈴木一弘(76)保護司、那智勝浦町浦神▽辻康子(74)元調停委員、和歌山市府中▽中谷裕一(68)九度山町消防団団長、同町九度山▽林幸子(76)保護司、御坊市島▽増井英子(68)調停委員、和歌山市延時
信頼される専門家として
県立那賀高校を卒業後、近畿測量専門学校、近畿大学法学部へ進学し22歳で土地家屋調査士に。約40年間、不動産の表示に関する登記に必要である土地や家屋の調査・測量をしてきた。
土地の境界については、トラブルが生じやすいため高度な技術が要求される。専門家として依頼者の意見を尊重するようにしっかりと耳を傾け、寄り添いながら正確な仕事をしてきた。「解決した後に感謝されるのが一番うれしい」と仕事の魅力を語る。
1989年に県土地家屋調査士会の理事に就任した後、副会長(近畿ブロック協議会総務部会長兼務)を経て会長として4年間尽力。県内での「空き家法」に関する取り組みや優秀な土地家屋調査士の人材を増やすための活動に努めた。現在は名誉会長として、また「紀の川市空家等対策協議会」の会長として活動する。
好きな言葉は「吾唯足るを知る」。酒と鯛のすしが好き。「コロナが落ち着いたら温泉旅行にも行きたい」と話す。受章には「とても栄誉なことでありがたい。妻にも感謝です」と喜んでいる。
関係者全ての幸せ追求
大学を卒業後、曽祖父が1896年に創業し、父の正さん(92)が社長を務める着物総合コンサルタント店㈲張正に入社。1990年に退職後、県警航空隊の操縦士として8年間職務にまい進。98年に同社へ戻り、仕事をしながら週末は講習会で勉強を重ね、上級クリーニング技術者、繊維製品品質管理士、消費生活コンサルタントなどの資格を取得した。
クリーニング業だけでなく、消費者や生産者のアパレル業、3者の立場で視野を広げながら、「みんなハッピーに」を目指して、生涯学び続けている。
2010年から理事長を務める県クリーニング業生活衛生同業組合や、家族のサポートのおかげでいろんな経験ができたと振り返り、「組合員はかけがえのない仲間。今後は自分が支えになれれば」と恩返しを誓う。
今後については、「和服の正しい保管方法や、洋服を含めた最新のメンテナンス方法などを広く伝えていきたい」と話している。
父の正さんも1994年に褒章を受けており、同業の褒章を親子で受章するのは全国で初の快挙となり、共に喜びを分かち合った。