県立高校再編へ 県教委が案への意見を募集

和歌山県教育委員会は23日、県立高校教育の充実と再編整備に関する「原則と指針」の案を公表し、県民からの意見募集を開始した。現状の32校を可能な限り存続、充実させ、1学年あたり4~8学級(1学級40人)を学校規模の適正範囲とするなど、従来示してきた考え方の上に、地域、学校ごとの現状や課題、改善の方向性などを示している。

原則と指針案では、自宅から通学可能な場所に、多様な学び方と活気がある高校を整備し、生徒の夢や希望の実現に応えるため、各校の特色化を進めることなどの理念を掲げ、適正範囲の維持が困難となる場合に再編整備の検討や準備に取り組むとし、各学校の統廃合や何年先にどうするなどの断定的な内容は書かれていない。

県内の中学校卒業生徒数は、1989年の約1万8000人をピークに減少を続け、2021年は7912人となり、35年には約5800人まで減少すると予測されていることから、案では、学校の活力や教育の質を維持するには、募集学級数の減では対応し切れなくなるとされている。

和歌山市では、周辺エリアからの進学希望者が多く、エリア外の県立高校への流出は少ない。生徒数の減少は比較的緩やかに進むと予測され、今後も学級数の調整を行いながら、可能な限り各校の存続、充実に努めるとしている。

紀の川市・岩出市地域は、中学生の地元進学率は約50%と低く、和歌山市など周辺への流出の割合が高い。将来像として、普通科3校(粉河、貴志川、那賀)のうち1校の一部施設を利用し、特別支援学校を併設することを含めた再編整備を検討するなどとしている。

海南市・海草郡は地元進学率が33%で、和歌山市内や私立高校への進学者が他地域に比べて非常に多い。海南高校については、海南・大成両校舎で学級数の調整を行いながら可能な限り存続、充実させ、将来は分校を含めて在り方を検討するとしている。

23日の記者会見で宮﨑泉県教育長は今回の案について、「高校教育の充実と再編整備を県民と一緒に考えていくための共通認識、スタートラインになるものにしたい」と位置付けを説明。清水博行教育企画監は、将来を断定するような表現を避けた理由として、「今後の学校の取り組みや地域社会の関わりにより、学校を取り巻く環境がより良くなることを期待しているから」と述べた。

案は県教育委員会ホームページや県庁情報公開コーナーなどで閲覧できる。意見には、住所、名前(団体名・代表者名)、電話番号、意見の内容を記入し、郵送、ファクス、メールで県教育庁総務課(〒640―8585和歌山市小松原通1の1、FAX073・432・4517、メールe5001001@pref.wakayama.lg.jp)へ。締め切りは来年1月24日必着。

問い合わせも同課(℡073・441・3641)。

県立高校再編整備の原則と指針案を説明する宮﨑教育長㊨と清水教育企画監

県立高校再編整備の原則と指針案を説明する宮﨑教育長㊨と清水教育企画監