地元の伝統を誇りに 卒業生に根来塗の根付

和歌山県岩出市高塚の県立那賀高校(森勝博校長)は、地元の伝統工芸品「根来寺根来塗」の根付(ストラップ)を毎年卒業生に贈っている。ことしも根来寺根来塗宗家の池ノ上辰山(しんざん)さんらが手掛けた根付が完成し24日、同校に届けられた。

地元の伝統工芸を広く知ってほしいと2016年から始め、ことしは全卒業生276人に贈られる。

根来寺根来塗は、天然の辰砂(しんしゃ)を使った自然な刷毛目を残す鮮やかな朱色が特徴。400年以上前に生産が途絶えたのを、池ノ上さんが復興した。丈夫で、使うほどに上の朱色が擦れ、下地の黒漆が現れて趣ある色合いが味わえる。2007年、県の郷土伝統工芸品に復興登録された。

贈られる根付は、全て手作業で制作したもので、26の工程を経て約半年かけて完成した。朱色で、中央に黒色の漆で「山」の字を配している。

在校生を代表して受け取った生徒会会長の阪部佑奈さん(2年)と書記の吉川恋さん(同)は、初めて見る根来塗の作品に「きれい。来年自分たちが受け取る側になるのも楽しみ」と笑顔。

池ノ上さんは「根来塗は、使えば使うほど色に味が出て、面白い。地元の文化を誇りに思い、これからも覚えていてほしい」と話した。

根来塗の根付は桐箱に入れ、3月3日に行われる卒業式で記念品として生徒に手渡される予定。

(左から)池ノ上さん、吉川さん、阪部さん、森校長

(左から)池ノ上さん、吉川さん、阪部さん、森校長

 

卒業生に贈られる根付

卒業生に贈られる根付