地域資源生かし活性化 近大と湯浅町が協定
近畿大学(大阪府東大阪市)と湯浅町は28日、農学を中心とした共同研究などを通じて地域活性化を目指す包括連携協定を締結した。
同町は古くから熊野古道の宿場町として栄え、しょうゆ醸造発祥の地、和歌山県内唯一の重要伝統的建造物郡保存地区を有するなど、豊かな伝統、文化がある。近大は1952年、同町に農芸化学研究所を設立し、58年の農学部設置に伴い「湯浅農場」と改称。創設者・世耕弘一の「科学技術で土地を改良することが大学人の使命」との信念を引き継ぎ、研究活動が行われている。
今回の協定により両者は、地域活性・地域貢献▽産業・観光の振興、町のPR▽ふるさと納税▽教育・文化の推進▽人材育成――などの分野で連携する。
具体的な取り組みとして、すでに進行中の「しょうゆの搾りかす」をミカンの肥料に使用する共同研究を継続し、ミカンの品質向上効果を検証する他、湯浅農場で栽培している「近大マンゴー」や「近大みかん」などの生産物を町のふるさと納税返礼品に提供し、地元企業とのコラボ商品の開発を進めることなどが想定されている。
協定締結式はオンラインで行い、上山章善町長と近大の世耕弘成理事長(参院議員)が協定書に調印した。
上山町長は「湯浅らしさのある地元資源の有効活用でありながら、これまでに例のない人、資源の交流で地域が活性化されることを期待している。より良いまちづくりにつなげていきたい」と述べ、世耕理事長は「近大にとって大変ゆかりの深い湯浅町との協定をうれしく思う。これまでの歴史に加えて、さらなる大きなプロジェクトを動かしていけることを大変期待している」と話した。