犯罪被害を水際阻止 西署が銀行員らに感謝状
犯罪被害を未然に防いだとして、和歌山西署は20日、紀陽銀行本店営業部(和歌山市本町)業務課主任の岡室春奈さん(43)と同課係員の清本優菜(ゆな)さん(24)、ローソン和歌山新堀東二丁目店のアルバイト店員、山路楓さん(18)の3人に感謝状を贈った。
同行の2人によると、11月22日午前11時30分ごろ、70代女性が窓口に訪れ、清本さんに50万円の出金を申し出た。清本さんが出金理由を聞くと、女性は「SNSで知り合ったイエメンに住む知人が日本に帰るための飛行機代として50万円を出金したい」などと説明したことから不審に思い、上司の岡室さんに報告。
女性が印刷して持参していたSNSのやり取りを見ると、全て英語であったものの振込先のみ日本語だったことから詐欺を疑い、振り込みを中止させた。女性は1年弱、やり取りをしていたという。
同署によると、主にマッチングアプリやSNSなどのインターネット上で親しくなり、金銭をだまし取られる詐欺被害は、ことし1月1日から11月23日までの時点で、県内で8件発生しており、被害総額は約4100万円に上るという。
また、ローソンの山路さんによると、同17日午後5時30分ごろ、80代の女性が来店。自身のスマートフォンを差し出し「インターネットサイトのくじ引きで10万円分のクオカードが当選した。賞品をもらうために個人情報を登録しなければならない。登録方法を教えてほしい」と言ったため、山路さんが画面を確認すると、クレジットカードに関する入力項目もあったことから不審に思い、女性を説得して登録を止めさせた。
いずれも犯罪の一歩手前で止めた珍しいケースといい、同署で行われた贈呈式で川上和彦署長は3人に感謝状を手渡し、「今後も気軽に声を掛けていただきたい」と呼び掛けた。
清本さんは「未然に防げて良かった」と安堵(あんど)。岡室さんは「そのまま処理するのではなく、話を聞いていったん止まって確認することの大切さに改めて気付いた」と話した。
山路さんによると、同店では週に1度程度、定期的にミーティングを開き、注意するべきことなどを共有。「聞いていた手口とは少し違ったけど、日頃から意識していたから疑問を抱きやすかった。これからも丁寧に対応することで犯罪被害を未然に防いでいきたい」と話した。