和市と陸自が連携訓練 避難目標灯一斉点灯も

和歌山市は27日、陸上自衛隊第37普通科連隊と連携し、災害時の情報連絡体制などを確認する訓練を行った。26日夜には、津波浸水想定区域などの小中学校に設置し、避難場所を示す目標灯「稲むらの火」の一斉点灯訓練も実施。より迅速な災害対応の強化を図っている。

同連隊は、大和川以南の大阪府と和歌山県内を防衛警備、災害派遣担当区域としており、南海トラフ巨大地震を想定した宿営を含む訓練を和歌山市内で実施することを受け、市が連携訓練を要請して実施に至った。

大規模災害時は、自治体が被災状況などの情報を集約し、関係機関との連絡で行き違いや混乱が起きないようにすることが重要。今回の訓練では、市との情報のやり取りを一元的に行う情報連絡員2人を同連隊が派遣し、市総合防災課職員と意見交換した。

同課職員は、市内の浸水想定や、被災状況などの情報集約の進め方、災害対策本部の配置や運用などを説明。情報連絡員からは、部隊を展開するための場所、自衛隊車両の駐車スペースなど、災害派遣時に必要な実践的な情報についての確認もあった。

同課の瓜生田有三課長は、自衛隊をはじめ関係機関と定期的な訓練を積み重ね、コミュニケーションを高める取り組みを進めているとし、「顔の見える関係が非常に大事。継続して連携していけば災害時に迅速な対応ができる」と話した。

災害時の情報連携について意見交換する和歌山市職員と陸上自衛隊の情報連絡員ら

災害時の情報連携について意見交換する和歌山市職員と陸上自衛隊の情報連絡員ら


「稲むらの火」の一斉点灯訓練は26日午後8時から行われた。

市は「世界津波の火」(11月5日)の制定を機に、市内の指定避難所の屋上に避難時の目標となる赤色回転灯「稲むらの火」を2016年度に設置。震度5弱以上の地震発生で自動的に点灯する仕組みとなっている。

この日は、津波浸水想定区域内とその隣接地区の小中学校28校に設置された55基を、市職員が点灯させた。対象地域では、事前に防災行政無線で訓練実施の連絡があり、夜の街に浮かび上がった赤い光を見上げる住民の姿が見られた。

指定避難所の屋上で点灯する「稲むらの火」

指定避難所の屋上で点灯する「稲むらの火」