和歌の浦に感銘 歴史学者の磯田氏

第45回サントリー地域文化賞の発表記者会見の後、選考委員の磯田道史・国際日本文化研究センター教授は、和歌祭保存会やサントリー文化財団の役員らと共に、和歌祭の舞台である和歌浦地区を訪れ、紀州東照宮や玉津島神社などを歩いた。

紀州東照宮では、保存会事務局も務める西川秀大宮司らの案内で、徳川頼宣が元和7年(1621)に創建した社殿を見学。鮮やかな彩色や緻密な彫刻が施された権現造りの建物の細部にまで見入った。

続いて、紀州徳川家10代・治宝の命で建造された不老橋を散策し、聖武天皇行幸の地に建ち、和歌三神をまつる玉津島神社を参拝した。

見聞きする文物をきっかけに、磯田教授の歴史談義も始まり、徳川家のことをはじめ、和歌山の博物学者・南方熊楠にも話が及ぶなど、同行した一行は興味津々で楽しんだ。

磯田教授は「日光より古い元和年間の東照宮が残り、昔の東照宮祭礼が維持されている。有形物の建造物と無形物の和歌祭がセットで、和歌の浦という風光明媚、かつ日本の教養の中心である和歌ゆかりの地に残されているということに、非常に深い感銘を受けた」と語り、西川宮司は「歴史ある賞を頂戴してありがたい。これからも保存会一同、祭りの伝承に頑張っていきたい」と話した。

 

紀州東照宮を訪れた磯田教授㊥ら

 

不老橋を渡る磯田教授㊨ら