自転車ヘルメット着用を モニター事業開始
高校生に自転車のヘルメット着用を促し、安全意識を高めてもらおうと、和歌山県教委は「バイシクルモニタープロジェクト」の試行を始めた。一般社団法人県農協共済福祉協会から寄贈された100個のスポーツタイプのヘルメットを三つの県立高校に提供。モニターとして着用し登下校してもらい、他の生徒や地域への模範となる行動につながることを期待している。8日には協力校の一つ、和歌山北高校(和歌山市市小路)で生徒に委嘱状の交付が行われた。
県教委によると、多くの公立中学校では、主に部活動の移動時など、ヘルメット装着を条件に自転車通学が許可されるといった校則規制がある一方、高校は校則での規制がない。ことし4月から道路交通法の一部改正により、ヘルメット着用が努力義務となったことを受け、県教委でも県内の中学、高校にビラを配布。支援学校にもヘルメットを提供して重要性を伝えてきたが、モニターとして生徒の意見を直接聞くのは今回が初めて。
この日は県教委の職員と、協力する県警本部の警察官らが、同校1、2年の全生徒約640人に自転車事故の現状を報告し、プロジェクトの説明を行った。県警本部交通企画課安全対策係の警察官が自転車事故の現状を伝え、過去10年の交通事故件数の推移では、全体に占める自転車事故の割合は増加傾向にあり、通勤、通学時間帯が多く、出合い頭の形態が最も多いことなどを報告した。
県教委教育支援課の貝畑毅指導主事は、「安全安心な社会に貢献できるような生徒になってください」と呼びかけた。ヘルメットを着用したくない理由を聞かれた生徒からは「ダサい」「面倒」といった意見が出た他、「みんながかぶっていないから」「髪型が乱れる」「朝のバタバタで余裕はないが、塾にはかぶって行く」などの意見が聞かれた。
同校にはヘルメット30個を提供。自転車通学の生徒を対象に希望者を募り、ヘルメットを着けて登下校してもらう。生徒たちにアンケートを実施した上で、今後の啓発活動につなげていくという。
この日は、普段から自発的にヘルメットを着用している同校自転車部の5人に、自転車の安全運転に関する啓発活動に向け、安全推進リーダーとしての委嘱状が交付された。
委嘱を受けた3年の辻真己さん(18)は「自分が安全にしていても、事故に巻き込まれることがある。かぶった方が安全」、3年の秦愛希翔さん(18)は「ヘルメットを着用している生徒はとても少ない。自分が着用することで周りにも広がって、この機会に増えたら良いと思う」と話した。
貝畑指導主事は「自分で必要性を感じて自主的に着用してもらえるようになれば。この啓発が友人や家族、地域の人に広まって着用が推進されるように、今後も取り組んでいきたい」と話した。
今後は県警の他、県民生活課やJAFもプロジェクトへの参加を予定しているという。