国際教育やDX拠点に 旧和歌山市民会館活用

旧和歌山市民会館(伝法橋南ノ丁)の活用事業の公募について市は9日、優先交渉事業者に「旧和歌山市民会館活用事業JLLグループ」(代表企業=ジョーンズラングラサール〈JLL〉㈱、構成企業=㈱KEGキャリア・アカデミー)を決定したと発表した。国際幼児教育施設などを誘致し、地域のDX(デジタルトランスフォーメーション)拠点となるセンター、商業施設などを備える構想で、市内に従来なかった機能が加わり、活性化が期待される。

旧市民会館は1979年7月に開館し、長く市の文化・芸術活動の拠点を担ってきたが、和歌山城ホールの開館に伴い、2021年9月末で閉館。敷地面積は9527・01平方㍍、既存の建物は地上4階、地下1階建てで、一部が耐震性能を満たしていない。

市は、市堀川に面した立地を生かした「かわまちづくり」や、周辺の施設と連携して将来にわたって南海和歌山市駅周辺のにぎわい、交流の創出、都市機能の充実を図る活用事業を民間から公募。昨年11月までの受付期間に2者が企画提案書を提出し、12月下旬に公開プレゼンテーションを行い、市職員や学識経験者ら8人の審査会委員による審査が行われていた。

JLL社は、総合不動産サービスを手掛ける世界最大規模の多国籍企業の日本法人。KEG社は同市友田町に本社を置き、総合教育業を展開している。

JLLグループの企画提案は「KNOT(ノット)Wakayama」。ノットは結び目、人の集まり、絆などを意味する言葉で、市の潜在的な魅力を連携させ、宿泊と体験したくなる場を創出し、訪れる人だけでなく、住民も楽しめる施設とし、ふらっと立ち寄れる、心地良い居場所を目指している。

計画では、既存の施設を改修するエリアに国際幼児教育施設(幼稚園)を誘致し、市内を含む企業の生産性の課題に対応する取り組みなどを推進するDXセンター、レストランなどを設ける。

新築するホテル棟には、国際ホテルマネージメントの専門学校を誘致し、ホテル、サウナなどを設置。商業棟には、親水レストラン、サーフショップ、サイクリングショップなどを入れる計画。広場、膜屋根ステージも設け、マルシェや屋外ライブイベントなどを開催できるようにする。

計画段階のため今後変更の可能性はあるが、現在の市内にはない機能が数多く含まれ、市の新たな魅力の創出、発信に期待が高まる。

尾花正啓市長は、市内の在住外国人が増加傾向にある中、幼稚園の段階から英語教育が受けられる施設があること、DXの推進拠点となること、成長産業としての観光を重視した計画であることなどを評価し、「さらに事業を魅力的なものにして、契約にもっていきたい」と話した。

市は今後、本年度中をめどに基本協定を締結し、さらに1年以内に事業契約を締結した後、4年以内に新施設を供用開始するスケジュールとしている。

 

JLLグループが提案した活用事業のイメージ(JLL社提供)

 

優先交渉事業者の決定について説明する尾花市長