心つないで13年 青年団体有志と東北被災地
東日本大震災の被災地と交流を重ねる和歌山市青年団体協議会の有志ら4人は昨年末、宮城県石巻市などを訪問し、有田みかんを届けた。冬を楽しく元気に過ごしてもらおうと、恒例のレクリエーション「みかん狩り運動会」を開いて交流。2011年の震災以降12回目の訪問で、つながりや結び付きは深いものになっている。
2011年に、メンバーが石巻市の知人にストーブを届けたのをきっかけに、翌年からは毎年出向き、ビタミンCがたっぷり入った県産ミカンを贈り、健康を維持してもらおうと、趣向を凝らした「運動会」で交流を続けてきた。
今回も1・2㌧分のミカンを、ワゴン車に積み込んで出発。ミカンは購入したり、農家の善意で寄せられたりしたもので、同協議会会長の高垣晴夫さん(61)は「毎年、協力してくれる人がいることはありがたく、心と心をつなぐような旅」と話す。
同市の重吉(しげよし)神社を会場に、子どもから高齢者まで84人が参加。パンダのかぶりものを身に着けた子どもたちは、ミカンを高く積み上げたり、お玉に載せてリレーするゲームなどを楽しんだ。
その他、メンバーは仙台市や名取市など計約30カ所に立ち寄り、公民館やホテル、団体などに有田みかんを届けた。
津波で児童と教職員84人が犠牲になった大川小学校の慰霊碑も訪問。同協議会の仲介が縁で、稲むらの火の館(広川町)から植樹され、「ともだちの樹」と名付けたサルスベリの成長も、現地で確認した。
2月には、東北の人たちが和歌山を訪問する予定もあるという。高垣さんは「それだけみんなが元気になったということかもしれない。ただ、被災地で語り部をする人の思いを聞く中で、13年ではとても、心が癒やされることはないのを感じる」と話す。
和歌山に戻り、元日に能登半島地震発生で甚大な被害が発生したことに、「いても立ってもいられない」思いだったという。高垣さんは「絶えず災害は発生する。過去に戻ることはできないが、『起こること』に備えることで、より多くの命は助かる。自然と共生しながら、未来に向けて一人ひとりができることを考えられれば」と話している。