ウクライナの2人に支援金 和歌山市

和歌山市は22日、ロシアの侵攻が続くウクライナから市内に避難しているハチャトリアン・アレヴィックさん(36)、ブラジスラブ・ボブネンコさん(26)の2人に、支援金各30万円を贈った。アレヴィックさんは4月に帰国を予定し、ボブネンコさんは引き続き和歌山で暮らすとし、戦争に伴い大きな困難を抱える2人のそれぞれの選択を後押しする。

ふるさと納税による寄付を活用した取り組み。同日、贈呈式を市役所で行い、尾花正啓市長は2人に支援金目録を手渡し、「祖国のことが心配でたまらないと思う。早く戦争が終わり、ウクライナが平和になることを和歌山市民皆が願っている」と話した。

アレヴィックさんは、激しい市街戦になった同国北東部ハルキウの出身で、2022年7月に和歌山市に避難し、大学での勉強、ロシア語の通訳の仕事などをしながら生活。同国出身で市在住の西畑オリガさんや市自治会連絡協議会の石井太郎会長らが、和歌山での暮らしをサポートしてきた。

アレヴィックさんの家族は、一部がフランスに避難しているが、ハルキウにとどまっているきょうだいもいる。ハルキウに戻り、心理学を学び、戦争終結後は国民の心理的ケアに役立つ仕事をしたいと考えている。

和歌山市については「とてもきれいな素晴らしいまち。皆さんとても優しく、和歌山を選んで幸せだった」と語り、「支援金は家族のため、勉強のため、これからのウクライナの役に立つように使いたい」と話した。

ボブネンコさんは同国東部のロシア国境に近いヤンポリ村の出身。実家はミサイルで破壊され、大学で学ぶために持っていた東部の都市クラマトルスクの部屋も、ロシア軍の攻撃で被害を受けた。

和歌山市には22年12月に避難し、和歌山グローバルビジネスカレッジ(坂本太校長)が身元を引き受けている。

贈呈式では「このような困難な時期に、和歌山の皆さんが提供してくださったことに感謝します。和歌山での生活は静かで楽しい。新しい生活で幸せを取り戻すことができ、ありがたい」と感謝の思いを語った。

母国の大学院で学んでいたITの勉強を続け、日本語も学んでおり、長く日本で暮らすことを望んでいるという。「支援金は将来の夢のために貯金します。いつか和歌山に部屋を買います」と話している。

尾花市長㊨から支援金目録を受け取るアレヴィックさん㊧、ボブネンコさん

尾花市長㊨から支援金目録を受け取るアレヴィックさん㊧、ボブネンコさん